2019年はタピオカブームの年ではなかった

タイトルを見て「何を馬鹿なことを言っているのだ。ブームが終焉を迎えようとしているが、2019年は日本をはじめアジア各国で流行したではないか!」と思うのは当然である。

確かに今年は日本やベトナムなどでタピオカミルクティー(バブルティー)が大流行したが、あくまでもタピオカミルクティーブームであり、タピオカブームではない。

以下は、タピオカの原料であるキャッサバの生産量が世界第2位であるタイの状況である。

タピオカ輸出は目標額を下回る見込み(Bangkok Post)

  • タイ貿易局によると、2019年のタイのタピオカ輸出は目標である850万トンを10%以上下回る750万トンとの見込み
  • 世界的なタピオカ需要の低迷と広範囲におよぶキャッサバモザイクウイルスによる供給源が原因
  • 輸出額は予測値28億ドルから変わらない見込み(昨年は31億ドル)
  • 2020年は900万トン(29億ドル)が目標
  • 11月12日に2019-20年シーズンの収穫期のタピオカ価格保証制度として96億バーツを閣議決定
  • 11月27日のキャッサバ根(25%)価格は2.2-2.4バーツ/kgだが、価格保証は2.5バーツ/kg

解説

タピオカブームなんてとんでもなく、世界的にはタピオカ需要が低迷しているのである。以下は2010年1月5日~2019年11月26日までの週毎のタイのタピオカデンプン価格の推移である。青色・左軸が国内価格(バーツ/kg)で、オレンジ色・右軸が輸出価格(ドル/トン)である。

タイのタピオカデンプンの価格推移
出典:Thai Tapioca Starch Association

これによると、ここ数年で見ればタピオカ価格のピークは2018年5月であり、それからは下落傾向にある。2019年以降はバーツ建てで下がっているのに対し、ドル建てでは横ばいなのはバーツ高の影響であると見られる。

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バーツ建て・ドル建てのいずれで見ても最近の価格は長期トレンドでみれば平均的な価格もしくはダウントレンドであり、タピオカ市場全体として見ればブームとは言えない。

それもそのはずで、タピオカの原料となるキャッサバはアフリカ、アジア、中南米で広く生産されているが、世界第3位の生産量であるブラジルなどでは主食の一つとして、或いは中国などで利用が増えているがバイオエタノールの原料としてなど工業用途もあり、タピオカミルクティーとしての消費は一部に過ぎない。

タイでは国内価格が下がっていることから記事の通り政府保証価格を導入するほどであり、2019年はタピオカブームの年ではなかったということである。

参考文献:Bangkok Post, “Tapioca exports predicted to miss target”, 29 Nov 2019

       

この記事の著者 HAL について

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