インドがマレーシア産精製パーム油輸入の影響についての調査を開始

EUからの規制により、マレーシアやインドネシアからのパーム油輸出が減少しており、パーム油価格が下落していることについては、当サイトで何度も言及している。

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一方で、価格下落したパーム油を多く輸入するようになったのがインドである。しかし、関税の問題で国内産業に影響を与えているというのだ。

インドがマレーシアからの精製パーム油の輸入について徹底的な調査を行うと発表(The Economic Times)

  • インドは2019年1月に精製パーム油の輸入関税を54%から50%に引き下げ
  • 関税引き下げ前から包括的経済協力協定によってマレーシアからは45%しか関税を徴収していない
  • 関税構造の変化によりマレーシアからのパーム原油と精製パーム油の実効輸入関税率差が11%から5%にまで下がる
  • 2019年上半期のマレーシアからインドへの精製パーム油輸出は、前年同期比727%増の157万トン
  • 精製パーム油輸入の増加によってインドのパーム油精製業者に大打撃を与える
  • インド油糧協会(SEA)が貿易救済総局(DGTR)に調査を依頼したことで貿易省が調査を開始

補足

精製パーム油の輸入関税が下がり過ぎたため、パーム原油との関税率に差が小さくなってしまった。

これまではパーム油の価格がある程度高値で推移していたので影響は軽微だったが、パーム油価格が下がったことで、パーム原油を輸入して精製加工するよりも、始めから精製パーム油を輸入した方が良いという状況になってしまった。

これによってインド国内のパーム油精製業者が大打撃を受けたというのが現在の状況である。

DGTRは関係企業などに1ヶ月以内に意見を提出することを依頼しており、貿易当局も地元企業に多大な影響を与えていることを認定しているという。

DGTRは過去にも、太陽電池などの輸入で国内企業に悪影響を与えているとして関税引き上げを提案するなどしている。

参考文献

The Economic Times, “India says probing jump in refined palm oil imports from Malaysia” 17 Aug 2019

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