EUがパーム油を忌避する背景はILUC

ILUCは Indirect Land-Use Changeの略で「間接的土地利用変化」 と訳される。

バイオ燃料を生産することにより将来の二酸化炭素排出量がどう変化するかを予測する時、単純に石油や石炭を代替することによる二酸化炭素排出量の差分を取るだけでは不十分である。

バイオ燃料生産を推進することにより、現在の農地がバイオ燃料用作物に植え替えられれば、元々植えていた作物はどこかで生産されることになる。

そうすれば、元々優秀な炭素貯蔵地域である森林や泥炭、湿地などを農地に変更される可能性があり、それによって二酸化炭素排出量が増えるというところまで考える。その変化をILUCという。

EUも当初はバイオ燃料を推進していたが、それはILUCの概念が無かったからであり、10年後20年後といった長期での二酸化炭素排出量を考える上で、現在はILUCは不可欠な考え方とみなされており、2021~2030年にEUで実施されるRED Ⅱ(再生可能エネルギー指令)では、バイオ燃料用作物の拡大に対して厳格な要件が含まれている。

パーム油もその対象の一つであり、主要生産国であるマレーシアとインドネシアがEUと揉めているのも背景にILUCがある。

WTOへの共同提訴を検討する一方で、MSPO(マレーシア持続可能なパーム油認証スキーム)に基づく生産を推進しており、この度マレーシアはEUにRED ⅡでMSPOを承認するように要求している。

参考文献:The Edge Markets, “Malaysia urges EU to recognise MSPO cert”, 29 Jul 2019

       

この記事の著者 HAL について

金融・マーケティング分野の機械学習システム開発や導入支援が専門。SlofiAでは主に海外情勢に関する記事、金融工学や機械学習に関する記事を担当。

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