マレーシアがインドネシアとのパーム油連携に温度差

環境問題を理由にEUはパーム油利用を削減する方向に動いており、主要産地であるマレーシアとインドネシアは反発をしている。共同でWTO提訴を検討するなど連携をし、実際にどちらもWTOに異議申し立てをしている。

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しかし、両国の動向を見てみると両国の対応やアプローチには温度差があることが伺える。以下は、関連する最近の報道3つである。

マレーシアのパーム油価格は来年も下落しそうにない(Vietnam+)

  • 2019年の平均CPO価格は2,070RM/tで、当初予測の2,090RM/tの範囲内
  • 11月のマレーシアのパーム油在庫が3ヶ月振りの低水準(前月比4.1%減の230万t)
  • 殆どの輸出先への輸出は減少しているが、中国向けは前月比23.5%増の34万t
  • 中国の需要増の要因は旧正月需要とマレーシアとの貿易改善
  • 中国は2019-2023年までにマレーシアからパーム油輸入を190万トン増やす覚書に署名している
  • MIDF Researchは供給不足と中国需要で来年もパーム原油(CPO)価格は上昇すると予想

パーム油マップで「ゲームチェンジャー」であるマレーシアに追随するようインドネシアに要請(Reuters)

  • 持続可能なパーム油のための円卓会議(RSPO)は、マレーシア政府が承認したマレーシア半島とサラワク州の土地マップを公開
  • 土地利用や植林などの状況を示し、パーム油開発における透明性と説明責任を果たす目的
  • WWFのデニス・ウェスターハウト氏は「(この地図は)真のゲームチェンジャー」と評価し、森林火災や森林破壊の監視が容易になると指摘
  • 環境保護活動家はRSPOにインドネシアのパーム油マップも公開するように要請

マレーシアはパーム原油輸出税を引き上げる計画(Vietnam+)

  • マレーシアのパーム油委員会は、輸出税を導入して1年半で初めて、2020年1月からパーム原油を引き上げる予定
  • 2018年8月までは4.5%の輸出税、その後輸出を拡大するために2019年5月から非課税免除枠を設けていた
  • 2020年1月の基準価格は2,571.16RM(616.59USD)/t
  • 市場ではパーム原油の輸出税増税により精製パーム油の輸出が増加し、更にインドネシアも追随すると予想されている

補足

マレーシアとインドネシアの経済の成熟度が大きく異なるということもあって、パーム油プランテーションに対する環境保護対策もマレーシアの方が進んでいる。RSPOでマレーシアの土地マップが公開されたのも、その進展度合いの強調である。一方でインドネシアは土地マップの公表には抵抗しており、環境保護活動家からも強く求められている状況だ。

マレーシアもEUに対して反発はしているが、どちらかと言えば強硬路線ではなく、「適切に持続可能な開発を行っている」ということをアピールする方向で進んでいる。これは11月のマハティール首相の国際パーム油会議での公演からも伺える。この意味でインドネシアとは温度差がある。

但し、EUに対する行動をそれほど強めていないのは、中国が多く購入してくれる見込みがあるからとも言える。

参考文献

[1]Vitenam+, “Malaysia’s palm oil prices unlikely to drop next year”, 13 Dec 2019

[2]Reuters, “Indonesia urged to follow ‘game-changer’ Malaysia on palm oil maps”, 13 Dec 2019

[3]Vietnam+, “Malaysia plans to raise crude palm oil export tax”, 14 Dec 2019

[4]The Edge Markets, “Dr M: Malaysia won’t hesitate to counter palm oil discrimination”, 20 Nov 2019

       

この記事の著者 HAL について

金融・マーケティング分野の機械学習システム開発や導入支援が専門。SlofiAでは主に海外情勢に関する記事、金融工学や機械学習に関する記事を担当。

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