マレーシアとインドネシアとEUの間におけるパーム油の問題は以前にも当サイトで取り上げた。EUが環境汚染を理由にパーム油の輸入を削減しようとしていることについて、マレーシアとインドネシアが反発している。
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これに関して暫く大きな動きが無かったが、マレーシアは11月までにインドネシアと協同でWTO(世界貿易機関)に異議申し立てを行う予定であることがBangkok Postなどの報道で分かった。
インドネシアとマレーシアは世界第一位・第二位のパーム油生産国であり、産業としてもパーム油は非常に重要な地位を占めている。
そもそもEUの環境政策だけでなく、景気後退予測などから世界的に燃料油・食用油の輸入量は減少しており、インドでも6月のパーム油の輸入量は前月比16%減(食用油の輸入量は前月比9%減)と輸出市場全体が軟調である。
実際、パーム油の国際価格は1年間で14~21%値下がりしており、これは他の燃料などと比べても非常に高い下落率である。
パーム油については、また続報が入り次第紹介していく予定である。
参考文献
Bangkok Post, “Malaysia to file WTO complaint on EU’s palm oil curb”,15 Jul 2019
Bernama, “India’s palm oil imports drop 16 per cent in June”, 15 Jul 2019
2019年12月18日追記:報道によると、インドネシアはパーム油輸出に対する差別的扱いについて、WTOに対して苦情を申し立てた。 アグス・スパートマント通商大臣は、訴訟の最初のステップとして2019年12月9日に公式の協議要求を行うことをEUに要請したと声明を出している。また、マレーシアも既にWTOに対して別の抗議を示している。
参考:Channel NewsAsia, “Indonesia hits European Union with WTO lawsuit over palm oil”, 16 Dec 2019