ペトロナスは原油価格低迷でも資本的支出と配当を維持せざるを得ない背景

マレーシアの国営石油会社ペトロナスは、原油価格が低迷しているが、260億~280億RMの資本的支出(CAPEX)計画を継続する予定と述べた。2019年度の240億RMの配当計画も維持する。(1RM=0.24USD)

The Edge Markets, “Petronas to maintain capex despite oil price slump”, 11 Mar 2020

計画を大きく転換できない背景にはマレーシア政府のペトロナス依存にある。2020年の政府予算では2,445億RMの歳入を見込んでいるが、想定するブレント原油価格は62ドルであり、歳入のうりペトロナスからの収入・配当は506億RM(約20.7%)を占める。仮に原油価格が35ドルの水準だと当初予測より81億RM少ない425億RMに減少する。

尤も、燃料補助金の削減などが見込まれるため、財政赤字のGDP比率は予算では3.4%から、原油価格の低下により3.6~3.8%に留まると予想されている。それでも原油価格の低迷が長引けば予算を終生するする必要があるという見方が強い。

但し固定資産の維持にかかる資本的支出は維持されるとしても、新規開発には大きな見直しがされる可能性がある。例えば昨年秋に再開した限界油田開発事業などは1バレル=60ドル程度を想定しており、現在の水準では到底採算が取れない。

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マレーシアリンギット相場は、首相交替など国内政治のゴタゴタに加え、一連の原油価格の低迷により2020年3月12日の水準で1USD=4.24RMまで進んでいる。

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