新型コロナウイルスが暑さに弱いかはソンクラーン後のタイを見るべき

WHO(世界保健機関)のマイク・ライアン氏が指摘するように、今のところ新型コロナウイルスが暑さに弱いと楽観視できる確定的な証拠は見つかっていない。しかし、インドでの感染例が非常に少ないことや、東南アジアで医療崩壊が起こっているという報告が無いことなどからも、暑さによって新型コロナウイルスが非活性化する可能性はある。

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本当に暑さに弱いかを判断する方法として、タイに着目すべきだ。特にタイの田舎である。これまでのタイはせいぜい最高気温が30~32度程度だったが、首都バンコクでも最近は最高気温が35度前後に達する日が増えてきた。これから暑季(タイの季節は乾季・暑季・雨季の三季で、暑季は3~5月頃)を迎えるタイでは最高気温が35度を超える日が珍しくなくなってくる。

日本の真夏もそれくらいの気温にはなるので、一足先に猛暑を迎えるタイの動向を追うことは今後の展開を予測する鍵となるはずだ。

それでも東南アジアには他にも多くの国があるのに何故タイなのか。それは4月にタイは水掛け祭りで有名な旧正月ソンクラーン(4月10日~15日)を迎えるからだ。

暑さによりソンクラーン後に観光業が回復するという楽観的な見方がある一方で、タイ政府はソンクラーン関連のイベントを全て中止もしくは延期するように指示している。

正月ということでタイの帰省・観光シーズンは4月に来ることになる。観光は冷え込むと予想されるが、帰省は多く行われるだろう。チュラロンコン大学の伝染病研究者ティラバト博士は、ソンクラーンの帰省によって全国に新型コロナウイルスが拡がる可能性を指摘している。

Bangkok Post, “Songkran homecoming could spread coronavirus, expert warns”, 12 Mar 2020

症例がある程度増えるのはほぼ間違いないと考えて良いが、判断すべきはその後ヒトヒト感染が増えていくかというところを判断すべきである。

バンコクだと至るところで寒いくらいに冷房が効いているので、例え新型コロナウイルスが暑さに弱かったとしても、室内にいる限りはその恩恵を受けられない。

しかし、タイの地方に行くほど貧困によりエアコンが無い住宅が増える。(タイでは安ホテルやアパートもエアコン付きか扇風機だけかで値段が大きく変わる。)貧しい家ほど暑い中で家族間の濃厚接触が起こるわけであり、その中で感染が拡大していくかが判断のポイントであろう。

2020年3月16日追記:タイ政府は、4月13~15日のソンクラーンの延期を発表した。ソンクラーンの延長なども議論されたが、最終的には連休を後ろにずらす方向になった。但し、代替の日程は発表されていない。

       

この記事の著者 HAL について

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