早ければソンクラーン後にはタイの観光業が正常化する可能性

ピパット・ラチャキットプラカーン観光大臣は、新型コロナウイルス(Covid-19)の観光業への悪影響は、2020年下半期、早ければタイの旧正月ソンクラーン後(4月後半)には収まるという見方を示した。これはタイだけの話ではなく、日本の今後を考える上でも重要な指摘である。

Bangkok Post, “Virus crisis will ease after Songkran: Tourism minister”, 23 Feb 2020

観光大臣が早くて4月後半に問題が収束すると考えているのは「暑さ」である。一般的にこの種のコロナウイルスは暑さに弱い。タイはバンコクを中心に3~5月くらいが暑季と呼ばれる最も暑い季節である。マンゴーの旬である。

とは言っても既にバンコクの日中最高気温は32度くらいには達している。暑季となると35度を超え、40度近くになることも珍しくないが、新型コロナウイルスにどれだけ熱耐性があるかは分からないが、一般に暑さにはウイルスは弱く、人間も免疫力は高いので、早期に収束する可能性はある。

タイは当初は中国や日本からの帰国者が新型コロナウイルスに感染しているケースが出ていたが、基本的には空港で止めて見つかっているのもあり、中国との人の行き来の割には感染例は多くない。これはマレーシアなども同様で、2020年2月24日時点でタイは35人、マレーシアは22人と人口比を考えても少ない。

人口の割に多いのはシンガポールだが、これはSARSの時もそうだが、国が徹底して対策と検査を行っているが故であり、ヒトヒト感染は一部確認されているものの、国内で歯止めが効かないレベルで伸びているというわけでもない。東南アジアでは死者もフィリピンの1例のみである。

勿論、国によって設備や検査体制などでもっと蔓延している可能性はあるが、以下の国別の感染者数一覧(2020年2月24日現在)を見ても分かる通り、当初感染が多いと言われていたタイはそれほど拡大していないことが分かる。

新型コロナウイルスの国別感染者数
出典: Coronavirus COVID-19 Global Cases by Johns Hopkins CSSE

実際、似たウイルスであるSARSの収束宣言がされたのは2003年7月であるが、東南アジアではもっと早期に収束している。例えばシンガポールは、2003年4月29日時点で感染者数は201人だが、最後に感染が確認された6月27日時点でも206人である。タイも4月29日時点で7人、6月27日時点で9人である。

東南アジアでも現時点では部分的にヒトヒト感染が確認されているが、暑季になると大幅に感染例が減る可能性が高い。一方で、日本などが東南アジアの暑季レベルまで暑くなるのは真夏である8月といった時期である。そういう意味で、タイより日本の方が影響が長引く可能性が高いと言えるのではないか。

無論、この種のウイルスは湿度に弱い傾向があり、新型コロナウイルスも同様である可能性がある。その場合は日本でも梅雨時期には大きく症例が減少するかもしれないが、それでも東南アジアよりかは影響が長引くことになるのではないか。

尤も、タイの観光業はGDPの20%に達すると考えられており、4月に収束したとしてもその影響は非常に大きい。現に今年はソンクラーンの休日を増やすことも検討されており、少なくともソンクラーンまでの影響は大きそうだ。

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この記事の著者 HAL について

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