トランプ大統領が「暗黙の了解」について言及する意味

報道によるとトランプ大統領は、インドで企業幹部らとの話で「(11月の大統領選で)もし私が勝てなければ、かつて見たことがないような暴落が起きるだろう」と述べた。

ロイター「トランプ氏「大統領選敗北なら米株暴落」、新型肺炎対処は良好」2020年2月26日

当サイトでも1年前から指摘していることだが、マーケットはトランプ大統領の再選を前提とし、異常に株価を気にするトランプ大統領は株式市場が壊滅状態になることを防ぐだろうという前提で動いている。だからサンダース氏のような社会民主主義者が大統領になることは株式市場にとって致命的であるし、現状サンダース氏では相手にならないと見られている。

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それでも「大統領選で敗北すれば株価が暴落する」とまで公言するのは焦りの現れだろう。以前からトランプ大統領は「株価が高いこと」を実績の一つとして度々ツイッターなどで公言しているが、大統領選で負けた時の影響について指摘する事は珍しいからだ。

焦るのも当然だ。当初は米国には他人事であった新型コロナウイルスも、イタリアや中東にも広がり、実はアメリカ国内でインフルエンザだと思っている患者の中に新型肺炎患者が一定数いるのではという見方も広がり、ダウ平均株価は24~25日の2日間で1911.05ドルも下げるなど大幅下落が続いたからだ。

このまま暴落が続くようであれば再選自体が危うくなるという見方は不自然ではない。しかし、「1031.61ドルと史上3番目の下げ幅」という表現に釣られすぎてはならない。額面で見ればそうだが、下落率で見れば3.56%であり、2008年10月15日の7.87%には遠く及ばない。

そういう意味ではまだテコ入れが可能な段階であり、一部でも報道されているように早期利下げなどが行われる可能性が高い。

そもそも米国大統領選の年は実体経済以上に株高である事が多く、その傾向は共和党政権時に特に顕著である。(この事については別記事で整理する。)それは大統領再選に向けて経済政策などを打ち出すからであるが、今回も予定外の新型コロナウイルスという悪影響はあるものの、大勢は変わらない、寧ろ分かりやすくなったというのが筆者の見方である。(寧ろ、このまま暴落が続くようなら再選自体を疑わなくてはならない。)

       

この記事の著者 HAL について

金融・マーケティング分野の機械学習システム開発や導入支援が専門。SlofiAでは主に海外情勢に関する記事、金融工学や機械学習に関する記事を担当。

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