フォントから政治的なイメージを受け取ると言えば、日本ならゲバ文字などが代表的だが、英語でもフォントの好みに政治色イデオロギーが現れるのだろうか。Communication Studiesに掲載された新しい論文では、987人の被験者に対し、属性および政治的イデオロギー、フォントや書体についての認識が調べられた。
実験は、7つのフォント(SUNRiSE、Century Gothic、Birds of Paradise、Gill Snas、Jubilat、Times New Roman、Cloister Black Light)が含まれる様々な文章を被験者が読んで評価するという形で行われた。文章は政治的な意味を持たない文章で、(アルファベット26文字を全て用いるので)キーボードのテストなどによく使われる”The quick brown fox jumps over the lazy dog”(素早い茶色の狐はのろまな犬を飛び越える )が使われている。
フォントは以下のようなものである。順番は論文における調査結果より上側ほど保守的になるように並べ替えてある。(実験ではランダムに示された。)
実験で示されたイデオロギーは以下の通りになる。数値は-1~1に正規化されており、1が最も保守的、-1が最もリベラルである。全体的にはSunriseを除いて米国の価値観として保守寄りであるが、フォントから受ける政治的印象の違いがたしかに存在するようである。
この中でバーニー・サンダース氏は2016年米国大統領選の選挙運動でJubilatに似たフォントを使い、バラク・オバマ氏は2008年大統領選挙でCentury Gothicに似たフォントを利用している。
またもう一つの書体による政治的認識を調べる実験において、
- 同じフォントであれば太字の方が保守的
- セリフ体の方が保守的
- 斜体の方がリベラル
という傾向があることも分かっている。
一連の調査結果より、
- 候補者の政治的イデオロギーを有権者が見分けるための材料となる
- 候補者が自身を穏健派に見せかけるために利用する
といった実用性があると指摘されている。