Vietnam+紙によると、6月3日にベトナムのホイアン市は、ドイツの政府機関German Development Cooperation Agency (GIZ)とカナダの慈善団体Health Bridge Canadaと協力して、自転車シェアリングのパイロットプログラムを開始した。
世界遺産にも指定されているホイアンだが、以前にも指摘した通りオーバーツーリズム(観光公害)が問題となっており、抜本的な改革の必要があるとされてきた。
この自転車シェアリングも、各所で電動自転車をレンタルできるようにして、自動車交通量を減らすことで、世界遺産を保護すると共に、ネックとなっている騒音問題を軽減することで観光客が観光しやすい環境を作ることを目的としている。
自動車やバイクなどを減らそうとする取り組みはハノイなどでも行われており、個々の取り組みは地方行政によるものであるものの、汚職撲滅や環境対策などイメージアップに取り組む新政権の強い意向が見られる。
一方で、以前にも指摘した通りホイアンには至るところにレンタサイクル屋が存在する。筆者が借りた時は身分証明もデポジットも何も無しに借りられ、治安の良さを実感できた。それも1日で日本円にして100円や200円といった金額である。
ホイアンの世界遺産地区はそれほど広くないので、電動自転車でなく普通の自転車でもそれほど移動は困難ではない。
なので、電動自転車であるというメリットはそれほど大きくなく、本当に成功するかは疑問である。観光客向けではなく、一般市民の移動手段を想定しているようだが、在住者であれば自転車を所有するのではないかとも思う。
もし電動自転車のレンタル料が非常に安ければ、市の取り組みが民業を圧迫することにもなり、それはそれで問題である。なので、いまいち目的が見えてこない。
余談だが、筆者が現地のレンタサイクル屋で借りた自転車は、立ち漕ぎした際にペダルとチェーンをつなぐ足の部分(クランク)が 折れるという目にあったことがある。自転車を借りる際に空気圧とブレーキ以外に確認すべき項目があったのはカルチャーショックである。(地元の自転車屋で安価で直してもらった。)
参考文献:Vietnam+, “Bicycle sharing programme launched in Hoi An”, 3 Jun 2019