ネスレは2017年に植物性肉を手がけるSweet Earthを買収し、この秋にも米国でAwesome Burgerという名前の人工肉を用いたハンバーガーを販売する予定である。
既に紹介したインポッシブル・バーガーやビヨンド・バーガーなど仰々しい名前が多く、awsome(米国スラングでは良い意味で「やばい」)というのも系統としては似たネーミングである。
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既にネスレは、ヨーロッパではGarden Gourmetというブランド名で同種のIncredible Burgerを発売しており、ドイツのマクドナルドにも提供している。
下記事で示した通り、米国マクドナルドは植物性肉の導入に慎重である。しかしビーガン市場が世界的にも大きいヨーロッパでは導入が進んでいる。
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米国で展開するAwsome Burgerはエンドウ豆由来のバーガーで、ヨーロッパで展開するIncredible Burgerは大豆由来のバーガーである。前者はBeyond Meatと似ており、後者はImpossible Foodsと似ている。(両者のコンセプトの違いについては上記事参照。)
Beyond MeatもImpossible Foodsも量産体制がネックとなり、価格の低下が今後の課題となっているが、Awsome Burgerは生産体制で強みがあり、今秋にはスーパーやレストランなど多くの場所で提供されることになる。
価格の比較は難しいが、参考としてBeyond Meatは米国のスーパーでは2枚入りで5.99ドル(約650円)で売られている。
一方でドイツのマクドナルドで売られているBig Vegan TSは、植物性肉パティが1枚入って希望小売価格は3.7ユーロ(約450円)である。(冒頭画像はBig Vegan TSのイメージ画像。引用元は下記公式サイト)
参考:McDonald Deutschland, “VEGAN-BURGER TS”
価格のベンチマークとして使われるビックマックはパティが2枚入って3.6ユーロ(約440円)なので、植物性肉はコスト面で牛肉を大きく上回る。
しかし、それでもスーパーで売られるパッケージの植物性肉1枚の価格に、少し上乗せすれば完成品のハンバーガーとなって店で食べられると思えば、Beyond Meatに比べてかなり低価格であることが分かる。
米国で熱気を帯びる植物性肉市場だが、ネスレの米国展開によって更に競争環境が大きく変わる可能性があり、注目である。
参考文献:CNBC, “Nestle gears up to launch its own plant-based burger in the US”, 3 May 2019