ベトナムの石炭輸入量は今後10年で4倍以上に増える見込み

電力需要の約半数を水力でまかなうベトナムでは、深刻な干ばつによって電力不足が問題となっている。ベトナム産業省の予測では、今のままだと2021年には37億kWh、2022年は100億kWhの電力が不足する。ラオスや中国などから電力を輸入する契約も締結しているが、一時的な対策に過ぎず、長期的には発電施設を拡充していくことが不可欠である。

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約半数が水力発電であるのに対し、もう半分は火力発電である。その中でも石炭火力発電が全体の42.7%を占め、国際的に石炭への批判が高まる中、今後も同国での石炭需要は堅調に伸びていく。

ベトナム国立石炭鉱業(Vinacomin)の予測では、火力発電所で利用する石炭需要は2020年に5,000万トン増加し、2030年には更に倍増する。ベトナムの石炭輸入量は2020年は1,200万トンと見込まれ、2025年には3,000万トン、2030年には5,000万トンと今後10年間で4倍以上に膨れ上がる見込みである。

欧州を中心にESGの観点から石炭火力発電に対する投資を撤退する企業が増えており、2019年12月も英スタンダードチャータード銀行などが石炭投融資の段階的な撤退を表明した。これによりベトナムで建設予定のブンアン第2石炭火力発電所への投資企業6社のうち5社が日本企業となったことが報じられた。

参考:alterna「ベトナム石炭発電事業から融資撤退相次ぎ、邦銀残留」2019年12月31日

しかし、IEAは東南アジアは今後もインドネシアを中心に石炭が多く供給・輸出されると予測しており、新興国を中心に石炭は重要なエネルギーであり続けるのは変わらない。

また、ESGの観点で石炭が忌避されるあまり、鋼材の原料としての原料炭など産業に不可欠な事業まで資金調達ができなくなっている事情もあり、イデオロギーやESGによる社内規制の影響が無いのであれば、狙い目の分野と言える。

参考文献:VN Express, “Vietnam’s coal purchases set to escalate”, 12 Jan 2020

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