ESG投資時代に期待される石炭企業

前々から似たようなことを書こうとしていたのだが、ZeroHedgeで先に書かれてしまったので、それを紹介することにする。

参考:ZeroHedge, “ESG = Excessive Share-price Growth”, 29 Nov 2019

ESG (Environment, Social, and Governance: 環境・社会・ガバナンス)は活況だが、過剰に株価が高い(Excessive Share-price Growth)という洒落が記事のタイトルであり、マーケティングの影響でESGと名がつくものに何でもかんでも資金が集まっている状況が指摘されている。

一方でESGの時代に割りを食っているのが、米国の石炭企業ピーボディ・エナジー<BTU: NYSE>である。2016年4月に一度は破産申請をしたが、2017年4月に脱却し再上場を果たし、再起を図っている。

石炭と言って全てを毛嫌いすることが過剰な株安を招いていると指摘される。象徴的なのは以下の部分である。

Now, I get it, coal is a dirty word amongst environmentalists, but you don’t get solar panels or wind turbines without structural steel and you don’t get steel without coking coal. US thermal coal may be a dying industry, but more than half of Peabody’s cash flow is now coking coal. Steel is necessary in almost every facet of economic life, yet the financial markets are saying that they will no longer fund a primary building block of economic growth.

(筆者訳:環境保護主義者の間では石炭は禁句になっているが、ソーラーパネルや風力タービンを作るは鋼材が必要だし、鋼材を作るには原料炭が必要だ。米国の燃料炭は斜陽産業かもしれないが、ピーボディのキャッシュフローの半分以上は今や原料炭である。鉄鋼は経済生活のほぼ全ての面で必要だが、金融市場は経済成長の主たる構成要素にもう資金を提供しないと言っているのである。)

ZeroHedge

要するに、クリーンエネルギーを推進するにしても原料炭は必要だが、「石炭」自体がdirty word(卑語・禁句)として扱われているために資金を獲得できないという状況をしている。実際、石炭セクターの殆どの企業は非常に少ない負債で経営されているが、これは資金調達ができないのが原因である。

似たようなものとして挙げられているのが2000年代のフィリップ・モリスだが、タバコは当時から毛嫌いされていたが、その後10年以上高いパフォーマンスを記録したと指摘している。上記記事の著者は今後数四半期かけて割安な原料炭株を買い集めるという方針を示している。

筆者もこの考え方には概ね同意できる。そもそも新興国ではこれからも石炭は重要な資源としての地位を維持し続けていくし、記事でも指摘されるESGバブルについても、まだまだESGについての判断基準や許容基準といったものが国際的に定まっていない段階で資金だけが集まっている状態である。そうすると石炭に限らず過剰に売られる銘柄というものは他にもあると考えられる。

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