ギャラップ社が継続して実施している消費週間調査の2019年7月の結果が出た。ここでは米国人の酒類消費の傾向 (18歳以上のランダムサンプリング) について取り上げた記事を紹介する。
ビール(Beer)、ワイン(Wine)、蒸留酒(Liquor)の好みについての長期的な傾向は、2005年にかけてビールの人気が下がる一方でワインの人気が上がり、近年は横ばいもしくはビール人気がやや回復傾向と言えよう。 2005年を除いてビールが最も人気ということには変わりない。
ビール人気の微増傾向について、ギャラップ社はクラフトビールの人気など業界構造の変化が影響している可能性を指摘している。クラフトビールについては当サイトでも過去に取り上げた。
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また、最近は蒸留酒の人気が上昇傾向だが、これについて同社は最近の糖質制限ダイエットの人気などにより、ビールやワインではなくリキュールにシフトする人が増えているのではないかと分析している。
属性別の傾向については以下のようにまとめられる。
- 男性のビール好き、女性のワイン好き
- 高年齢、高学歴、高収入ほどワインを好む
- 中西部は特にビール好きの傾向
- 人種で大きな違いが見られない
1と2については特段驚くべきことではない。イメージ通りの結果である。
3については、「ビールを好む」という回答をしたのが、
- 西部:36%
- 南部:32%
- 中西部:49%
- 東部:40%
と半数がビール好きという回答であり、平均の38%を大きく超える。これはやはり、バドワイザーのお膝元(ミズーリ州セントルイス)であることが大きいように思える。
人種差について違いが見られないことについては、これは人種というより社会階層や地域、宗教などによって差が出ると考えた方が良さそうだ。
また、全体の飲酒率については長期的に56-71%の間で増減を繰り返しており、最新調査ではやや増加傾向の中で65%である。
更に週当たりの平均飲酒数は「4杯」という結果だった。これには全く飲まない約3割の人を含んだ結果であり、飲む人に限定すればもっと多いだろう。
参考文献:Gallup, “Liquor Ties Wine as Second-Favorite Adult Beverage in U.S.”, 9 Aug 2019