米国ではここ10年間でクラフトビール(地ビールとも)市場が大きく伸びている。クラフトビール醸造所の数は2007年に1,511だったのに対し、2018年には7,000以上にまで増えている。
C+R Researchは、2019年3月11日~3月22日に、 Amazon Mechanical Turkを利用して2,000人の米国人からクラフトビール消費についてのオンラインアンケートを行った。回答者の属性は、定期的に酒を飲む21~70歳の男女である。
属性については自己申告でありサンプリングバイアスがあるとしつつも、ある程度の消費傾向はつかめると思われる。
調査の概要を以下に要約する。
- 週1回以上クラフトビールを飲む人は49%
- もっとも好まれるクラフトビールの種類はIPA
- 月1回以上工場直営パブ又は醸造所に行く人は41%
- クラフトビールで特に重視されるのは「味」「種類」「価格」である
- クラフトビールの購入に「値段が影響しない」と回答した人は76%
- クラフトビールの月間平均消費額は59ドル
- 過去数年間でクラフトビールの人気が伸びたと感じる人は49%
- 1年前よりもクラフトビールの飲むようになった人は94%
- 大手ブランドのビールよりもクラフトビールを好む人は91%
- 夏に飲む事を好む人が50%、季節を問わない人が31%
調査対象者が「定期的に酒を飲む成人」であるので、全体的にかなり高い数値が出ている事に留意する必要はある。それでも、その酒好きの中でもクラフトビールを好むようになってきている傾向は確かに見られそうだ。
クラフトビールの「種類」についてはIPAが最も人気である。IPAは、
18世紀末にロンドンの醸造家ジョージ・ホジソンによって考案されたスタイルです。 英国の植民地であったインドへビールを海上輸送する際に、劣化を防ぐため大量のホップを投入して苦味を強くしました。極めて強いホップの苦味と高いアルコール度数が特徴。 モルト風味はミディアムレベルで、フルーティーなエステル香は穏やかなものから強烈なものまで許容範囲が広い。
クラフトビアーズ
とあるように、強い香りと苦味が特徴である。他にもスタウトも米国では代表的なクラフトビールであるようで、共通するのは「強い味の個性」である。
「味」と「種類」に対するこだわりはクラフトビールの愛好家に強く、それが大手メーカーによる大衆品ではなくクラフトビールを好む大きな要因である。
一方でこれらの販売価格は高いが「値段」はあまり気にしない傾向があり、醸造所にまで足を運ぶ人も少なからず存在するようだ。
参考文献:C+R Research, “SURVEY REVEALS FACTORS DRIVING CRAFT BEER GROWTH”