世間的には豚コレラが大きく報道されたが、鳥インフルエンザの問題も世界的にはかなり深刻で、悪化すれば供給不足を引き起こしかねない。
以下は農林水産省がOICの情報を元に2018年以降に鳥インフルエンザが発生した国を色分けしている。元のデータには主要な発生日時も書かれていて便利だが、いくつか色の塗り忘れがあったのと、12月11日の英国での低病原性鳥インフルエンザの発生を反映させている。
鳥インフルエンザウイルスには低病原性と高病原性がある。高病原性は伝播力が高く致死力が強く、海外では人の死亡事例も出ており、養鶏だけでなく公衆衛生の観点からも即対処しなければならないものである。低病原性は殆ど臨床症状を示さないものの伝播力は高病原性と同様に強く、高病原性に突然変異することもある。発見が遅れやすいことも問題である。(農林水産省)
要するに低病原性・高病原性に限らず発生し伝播していることは重大な問題である。そして上の地図を改めてみると、2018年以降に絞っているにも関わらず世界中が真っ赤な状態である。
そして、鶏肉の三大輸出国のうち米国では既に
- 2018年2月:ミズーリ州
- 2018年3月:テキサス州
- 2018年10月、2019年4月:カリフォルニア州
- ミネソタ州:2018年10月
と発生している。
あとの二国は地図上で緑色で示しているタイとブラジルである。タイは2014年以降低病原性・高病原性ともに鳥インフルエンザを発生させたことがなく、ブラジルは今までに高病原性鳥インフルエンザを発生させたことがない。
しかし決して楽観視はできず、タイについては周囲で多く発生している。国境を隣接する国だけに限っても、
- 2018年7月:マレーシア
- 2018年10月:ラオス
- 2019年5月、6月:ベトナム
と発生している。
ブラジルの方はまだリスクは低いとは言え、前述のアメリカからはじまって、
- 2018年11月:ドミニカ
- 2019年6月:メキシコ
- 2019年8月:チリ
と中米から南米へと拡がっている。また、輸出額は少ないが生産量だけに限るなら中国は世界で最も多くの鶏を飼育しており、感染が拡大すれば世界の需給を大きく歪めることになる。
参考文献:農林水産省「高病原性鳥インフルエンザ及び低病原性鳥インフルエンザ に関する特定家畜伝染病防疫指針」(PDF)