グローバル・サイバーセキュリティ・インデックス(GCI)2018/2019:日本は14位

先月2019年7月、国際電気通信連合(ITU)の電気通信開発部門(ITU-D)がグローバル・サイバーセキュリティ・インデックス(Global Cybersecurity Index : GCI)を発表した。

今回は2014年、2017年に続く第3版であり、サイバーセキュリティに対する国の取組みを多面的に評価することで、国際的にサイバーセキュリティに対する意識付けを促進するための大規模な調査研究である。今回のは2018年に調査された分の結果である。

  1. 法整備(Legal)
  2. 技術(Technical)
  3. 組織(Organizational)
  4. キャパシティ・ビルディング(Capacity Building)
  5. 協力(Cooperation)

の5つの観点で国家がどのような対策を採っているかを評価し、これらの合計点が総合スコアとなる。

このうち聞き慣れない名前としてキャパシティ・ビルディングがあるが、これは「集団がある目的を達成するために必要な能力を構築すること」である。

単純にサイバーセキュリティに関する法整備や技術の導入をしても、それを扱う人間の意識や能力がついていかなければ有効に働かない。そのために能力開発や啓蒙を行うのがキャパシティ・ビルディングであり、ここではサイバーセキュリティ専門家の養成プログラムや一般向けの講座、研究開発プログラムなどへの取組みを指す。

最後の「協力」は、サイバーセキュリティに対する国際協力や官民パートナーシップといった連携や情報共有などの取組みである。

以下はGCIのヒートマップである。3段階で分けられており色が薄いほど国の取組みが高く評価されている。アフリカ諸国の多くで見られる濃い青が「初期段階」にあり、南米に多く見られるグレーに近い青が「中水準」、水色が「高水準」である。多くの先進国は勿論、中国やロシアといった国も予想通り高水準である。

GCIのヒートマップ
出典:Global Cyber Security Index v3: p. 13

全175ヶ国のうち、GCIスコアの上位11ヶ国は以下の図の通りである。1位が英国、2位が米国、3位がフランスと続く。

アジア太平洋地域の上位はシンガポール(6位)、マレーシア(8位)とトップダウンが強い民主主義国家が続く。同地域の3位がオーストラリア(11位)で、日本は全体で14位、アジア太平洋地域で4位である。スコアは0.880である。

他に適当に筆者が着目した国の順位と総合スコアをピックアップする。(順位は全体)

  • 27位:中国-0.828
  • 33位:UAE-0.807
  • 35位:タイ-0.796
  • 39位:イスラエル-0.783
  • 47位:インド-0.719
  • 50位:ベトナム-0.693
  • 70位:ブラジル-0.577
  • 171位:北朝鮮-0.02
  • 175位:モルディブ-0.004

北朝鮮やモルディブは調査に参加していないのでデータは限定的である。

調査レポートの地域別の状況や各国の分析、各スコアの重み、詳細なデータなどはPDFで公開されている。

参考文献:ITU, “Global Cybersecurity Index v3 2018/2019”

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金融・マーケティング分野の機械学習システム開発や導入支援が専門。SlofiAでは主に海外情勢に関する記事、金融工学や機械学習に関する記事を担当。

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