コロナ時代の遠隔マッサージサービス

チャンネル・ニュース・アジアが「リモートマッサージ」についての特集記事を掲載していた。元バックパッカーである筆者としては、マッサージといえばまずエロを連想*1してしまい、遠隔操作できるディルド型ヴァイブレータなどの製品を連想してしまうが、そういうものではない。

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そんな下世話な話ではなく、これはニューヨーク州サラトガ・スプリングズに住むマッサージセラピスト、スザンヌ・クファシニェフスキ氏がZoomや電話を使ってクライアントに「自分で指圧する方法をリアルタイム指南するサービス」を提供しているという話だ。

クファシニェフスキ氏は、ロックダウンによって長年契約しているクライアントの通院が無くなったことを受けて、クライアントに電話してみると、やはり高齢者を中心に苦しんでいた症状の再発などの問題を多く聞くようになったという。それを受けて、Zoomを使って、セルフマッサージやストレッチ、瞑想の仕方をリアルタイムで教えながら実践してもらうというサービスを開始したという。

勿論、プロにマッサージをしてもらうのと、指南を受けるとは言え自分で指圧するのとではサービスの質に大きな隔たりがあるだろう。また、クライアント全てがそのサービスを使ってくれるわけではない。だからクファシニェフスキ氏は、クライアントの数が減っていることを前提に、1回当たりのサービスの時間を長く設定しているという。

記事でも取り上げられているが、コロナ渦において、マッサージなりフィットネスなりではオンラインで動画を投稿したり、Zoomでレクチャーするなど一対多を想定した対策が多いように思う。英語メディアでも「ウェビナー」という言葉はコロナ以降で目にする機会が非常に多くなった。

しかし、マッサージなど接触を伴うようなサービスの場合、一対多でセルフマッサージを指南するようなサービスも当然可能だが、敢えて一対一を維持して可能な限り品質を維持するという方法も有効というのは良い着眼点であろう。

しかし、下世話な話ではないと言った手前恐縮だが、最初のエロに戻ると、この種の「オンラインによる一対一”接触”サービス」は最近はポーントロプレナー(Porntropreneur)と呼ばれる人が従来から電話などで行ってきたサービスと同じ仕組みである。

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そう考えると、セルフマッサージを指導するという方法でオンラインで成立するというのも新しいようで古いやり方なのかもしれない。尤も、顧客がセルフマッサージで満足してしまって契約を切ってしまうリスクがあるのは否めない。

参考文献:Channel NewsAsia, “Remote access: You can now get a massage without the touch”, 5 Sep 2020

*1:東南アジアに行けば、真っ当でないマッサージ屋は少なくなく、マッサージはそこそこに”additional plan”を提案してくる女性マッサージ師に遭遇することも多い。筆者の主観では店頭で若い女性が呼び込みしているような店はそういうケースが多く、ちゃんとしたマッサージを受けたい人は、そういう店は避け、可能であれば評判の良い店を事前に調べてから行く方が無難である。

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