【新語紹介】Porntropreneur:ギグエコノミー時代のポルノ女優

米英を中心にフリーランスは急増しており、ギグエコノミーと言われるインターネットを通じて稼ぐ働き方が珍しいものではなくなってきている。

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それはアダルト産業におけるポルノ女優も例外ではない。アダルト動画コンテンツは、ポルノ映画の時代からビデオ、DVDへと媒体が変わっていき、今はインターネットにおけるデジタルコンテンツが主流である。

しかし、PornhubやXVideosなどの例を挙げるまでもなく、素人が撮影した動画や違法なコピーコンテンツなどにより、既存の商業ポルノ動画ビジネスの利益率が下がっている。更にはディープフェイクを利用したポルノ動画などの増加も考えれば、ポルノ女優がポルノ動画単体で食べていきにくくなっている時代となりつつある。

実際、アメリカを中心にウェブカメラを用いたライブストリーミング配信による収入が主体となっているポルノ女優が増えてきている。YouTubeは規約上無理だが、OnlyFansやNiteFlirtなど性的なコンテンツを配信することが可能なオンラインプラットフォームを用いて収益化するケースが増えている。

オーストラリア国立大学のソフィー・ペズット氏(人類学博士)は、ポルノ女優がオンライン配信で収入を得ることをポーントロプレナー(porntropreneur)と呼んでいる。porn(ポルノ)とentrepreneur(アントロプレナー)の合成語である。日本語的には「ポルノトロプレナー」と呼んだ方が伝わりやすいかもしれないが、どうにも実際の発音とは異なる上どうにも発音しにくいので、ポーントロプレナーと訳すことにする。

ウェブカメラで生中継するポルノ女優をカムガール(camgirl)というが、ペズット氏によれば、こうしたギグエコノミーに生きるカムガールにとって、「ポルノ映画は看板。オンライン配信が製品。」という位置づけになっているという。

収益化の方法はウェブカメラによる配信だけにとどまらない。

ポルノ俳優は今や、ウェブカメラ配信、自主制作動画、OnlyFansのようなソーシャルメディアプラットフォームでのサブスクリプション、付き添い、テレフォンセックス、セクスティング、「パパ活」、下着販売で稼ぐようになっている。

The Conversation, “The rise of the ‘porntropreneur’: even hustlers need side hustles in the gig economy”, 22 Jan 2020

ペズット氏によれば動画だけの時代のポルノスターは単なる「パフォーマー」であったが、今の時代に成功するのは小さなオンラインビジネスを経営することと等しい。オンラインプラットフォームなどで技術的に精通している必要があり、これらのホウシュウモデルやアルゴリズムの変化に対応し、自ら配信・制作する内容についての自己規律も重要である。

更にはマーケティングのスキルも重要であり、自身をブランド化する必要もある。実際、Instagramでファンとやり取りをしたり、Twitterで舞台裏について投稿したり、YouTubeで日々の生活について配信するなど様々な工夫が必要となる。ここまでくれば起業家(アントレプレナー)と言わざるを得ない。

参考文献: The Conversation, “The rise of the ‘porntropreneur’: even hustlers need side hustles in the gig economy”, 22 Jan 2020

       

この記事の著者 HAL について

金融・マーケティング分野の機械学習システム開発や導入支援が専門。SlofiAでは主に海外情勢に関する記事、金融工学や機械学習に関する記事を担当。

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