世界食料安全保障インデックス(GFSI)で日本は21位

日本では農林水産省が予算を確保するためにカロリーベースの食料自給率を採用し、食料安全保障の危機を煽っているが、英エコノミストのインテリジェンス・ユニットが作成した世界食料安全保障インデックス(Global Food Security Index)の2019年版は113ヶ国中21位であった。

この指標は、

  • Affordability(食品価格の手頃さ)
  • Availability(食品の入手可能性)
  • Quality and Safety(食品の質と安全性)

の観点で総合的に評価される。

いくら沢山の食品を作っていても、国民が買う余裕が無かったり、物流やインフラの問題で供給に問題があったりすれば、食料安全保障を担保してるとは言えない。また、特定の栄養素の食品供給に偏っていても国民の栄養状態を損なうので安全とは言えないし、政治リスクが高くても問題である。また、いくら供給されていても、その食品が安全でないのも問題である。

こうした観点を見るだけでも、日本で普及している食料自給率には大きな問題があることが分かるだろう。

指標では大分類だけで21の観点が存在し、それぞれが指標化され各観点及び全体スコアがランキング化されている。

以下の特設サイトで細かく見ることができるし、バイナリワークシートとしてデータもダウンロードができるが、ここでは日本を中心に概観することにする。

参考:The Global Food Security Index

以下はワークシートから上位30位だけをそのまま引用したものであるが、左から

  • 全体スコア
  • 手頃さ
  • 入手可能性
  • 品質と安全性

を示している。日本は青色で示し、他のアジア太平洋地域諸国も薄く色づけしている。

The Global Food Security Index
出典:EIU, Decmber 2019 Model

見て分かる通り、日本は全体で21位、手頃さが24位、入手可能性が21位、品質と安全性が28位である。著しく高いというわけではないが、どの指標も比較的上位に存在し、ある程度の食料安全保障が担保されていることが分かる。

こうした購買力や供給力、栄養状態や安全性、政治リスクなど多面的に担保されていることが重要である指標であることから、全体1はシンガポールであり、アメリカ(3位)よりも高い。いくら沢山食料を供給していても中国は上位30位に入っていない。(中国は全体35位である。)

日本の指標は全体的に高い数値を示しているが、シンガポールなどと比べていくつか低いものが存在し、それが大きな順位の差となっている。それは以下のようなものである。

  • 1人当たりGDP
  • 輸入関税
  • 必要カロリーに対する食糧供給の割合
  • 政府支出に占める農業R&D投資
  • 鉄分と亜鉛を含む食品の供給

特に足を引っ張っているものを太字にしてある。農林水産省が利用するカロリーベースの食料自給率も入っているが、あくまでも指標の一つに過ぎない。

政治が安定し、海外とも国交を適切に結べているなれば、重要なのは購買力であり、その点で1人当たりGDPが先進国の中でも低いのが、順位をいまひとつのところに留める要因である。

また、自民党の票基盤として農家への補助が多いイメージはあるが、研究開発(R&D)に対する投資は国の大きさから考えれば不十分である。

全体的に生産性が低く、生産性を高めようとする投資が少ないことが問題であり、これは日本の経済全体が抱えた問題とも言える。農林水産省も農業R&D投資の方向をもっと前面に出して議論すべきではなかろうか。

       

この記事の著者 HAL について

金融・マーケティング分野の機械学習システム開発や導入支援が専門。SlofiAでは主に海外情勢に関する記事、金融工学や機械学習に関する記事を担当。

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