ベトナム南中部ビントゥアン省で7日、干ばつと水不足を理由とする非常事態宣言が発令された。人口構成と早期のロックダウンで新型コロナウイルスの被害が大きくなかったベトナムは、4月下旬から段階的に経済活動を再開しているが、昨年から続く干ばつの影響は緩和せず、深刻な状況だ。昨年時点で11州で非常事態宣言が発令されていたが、被害が深刻な地域が拡大していることが伺える。
干ばつの影響は水不足や農作物に大してだけでなく電力不足を引き起こしており、メコン川の流域開発と関係する国際問題にもなっている。
非常事態宣言を受けて農業・農村開発省(DARD)は、貯水池の管理や灌漑施設の緊急プロジェクトの推進、農業部門との連携などが行われている。地方自治体は水の効率的な利用や貯水の推奨、貧困層への補助なども行われている。
2019年のベトナムは「過去最高の暑さ」と言われ、2020年に入っても平均気温は平年より1~2.5度高く、猛烈な熱波は水不足だけでなく人体にも危険(紫外線や熱中症など)である。
唯一の望みは今後の雨季と見られている。一般にベトナムは5月から南部より雨季に入るが、フィリピン近海に発生する熱帯低気圧が多くの雨をもたらすかが今後の状況を左右する。
参考文献[1]:Vietnam+, “Binh Thuan declares Level 2 drought emergency”, 7 May 2020
参考文献[2]:VN Express, “Hazardous UV levels to hit Vietnam’s major cities this weekend”, 7 May 2020