観光都市から金融・物流中心都市への転換を目指すダナン

ベトナム第3の都市であるダナンは、地理的にはベトナム中央部に位置し、気候はベトナムの中でも極端に暑いがリゾート地として有名で、近隣のホイアンとフエを合わせてベトナム中部観光の定番コースの一つである。

観光地としての開発が先行してきたために、新型コロナウイルスの影響をまともに受けることになり、3月29日に発表された公示地価は10%も引き下げられるものであった。

参考:ベトジョー「ダナン:商業・工業用地の公示地価を▲10%引き下げ」2021年4月1日

しかし、この公示地価の引き下げは単に観光業の冷え込みで土地相場が下がっただけが理由ではなく、広く投資を集めるための方策であるというのがダナン市の考えである。

ダナン開放記念日46周年に合わせて開催されたダナン市人民委員会の式典では、2045年までを視野に入れた2030年までのダナン開発計画が承認されている。

この都市計画や同時に承認された政令では、金融センターを建設する方針が決められただけでなく、リエンチウ港を中心とした国際物流拠点の確立などが定められている。

リエンチウ港は、元のティエンサ港が手狭になったために、ティエンサ港を観光港・軍用港とする代わりに、ベトナム全体の物流を見越して新たに開発が進んでいる港湾である。

関連記事:ダナンのリエンチウ港建設計画の背景

物流や金融だけでなく、ITやハイテク産業など幅広い産業の育成と誘致を目指しており、その点で今回の公示地価引き下げは重要である。これにより土地賃貸料が下がるが、農林水産業などに関しては0.7%から0.5%への引き下げなのに対し、それ以外の産業に関しては2%から1%への引き下げと半分になる。

また、ダナン市は総面積136万平方メートルにもわたる土地186箇所の土地使用権について、2021~2025年の間に競売にかけることも計画しており、今後経済正常化に留まって再び注目が集まってくると思われる。

参考:tuoi tre online, “Đà Nẵng sẽ thành điểm đến phong cách sống toàn cầu”, 30 Mar 2021

ちなみに日本はダナンへの外国直接投資額が1位になったこともあり、あまり知られていないことではあるが既に産業面でも注目されている。

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