同族内のColorism(カラリズム)と美白化粧品

Colorism(カラリズム)という言葉がある。肌の色による差別を指すが、白人から黒人に対するようなRacism(人種差別)よりも、例えば同じ夕食人種内で「肌の色が明るいほうが良い」という価値観を持って、同族内で差別を行うことを指す事のほうが多い。(米語ではなく英語ならColourismとも表記する。)

今のところ定訳は無く、「肌色の濃淡によって差別すること」と定義的であったり、単純に「カラリズム」とローマ字読みした表記が多いようである。社会学の文献などでは随分前から出現する用語であるが、一般的にはそれほど知られておらず、urban dictionaryのアクティビティを見ても2018年以降に急激にアクセスが増えているようである。

参考:urban dictionary, “Colorism”

英語圏でもそれほど一般的な用語ではなく、Wikipedia英語版でもColorismで検索するとDiscrimination based on skin color(肌の色に基づく差別)にページにリダイレクトされる。また、先日紹介したメリアム・ウェブスター辞典の新語においては経済・経営・金融系の用語しか紹介しなかったが、その中にもColorismがあり、ようやく辞書に載るようになってきたという段階である。

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ケニア人の両親をもち、『それでも夜は明ける』(2013年)でアカデミー助演女優賞を受賞したルピタ・ニョンゴ氏は、最近インタビューでカラリズムについての経験を話し、黒人社会のケニアでテレビのオーディションに出た際に「テレビで見るには(肌の色が)暗すぎる」と言われた経験があるようで、同じ黒色人種内で肌の色による差別は珍しくない。

こうした価値観は一般に欧米による植民地支配からの独立を機に生まれたと多くの文献で指摘される。美白化粧品を使って肌の色を白くしようとすることを一般にはskin whiteningやskin lighteningと言うが、アフリカなどではskin bleachingという言い方も普及しているようだ。(bleachは漂白」や「脱色」の意。)

また、カラリズムで表現される差別は、アフリカ系に限らず、東南アジアやインドなどでも多く見られ、そして美白化粧品の利用は一般的である。WHO(世界保健機関)がまとめたところによれば、各国の女性のうち、以下に示す割合が日常的に美白化粧品を利用しているという。

  • アフリカ:ナイジェリア(77%)、トーゴ(59%)、南アフリカ(35%)、セネガル(27%)、マリ(25%)
  • 東南アジア:マレーシア(40%)、フィリピン(40%)
  • インド(61%)

よくよく考えれば、カラリズムに分類するかはさておき、日本でも色黒の人を差別するという意識は無くとも、色白に憧れるという人は多いと考えられる。植民地支配を受けていなくても、白人とのハーフの芸能人が人気のタイなどでも同様の傾向は見られる。

多くのアフリカ諸国は美白化粧品を禁止しようとする動きが出てきているようだ。これには、

  • カラリズムの社会問題化
  • 植民地主義の痕跡からの脱却
  • 一部の美白化粧品に含まれる水銀の問題

といった幾つかの理由があるようである。

新興国を中心に美容関連市場は活況であるが、こうした流れがあることも抑えておきたい。

参考文献[1]:World Health Organizarion, “Mercury in Skin Lightening Products”, 2011(PDF注意)

参考文献[2]:THIS IS AFRICA, “Lupita Nyong’o says ‘Colourism is the daughter of racism’”, 10 Oct 2019

       

この記事の著者 HAL について

金融・マーケティング分野の機械学習システム開発や導入支援が専門。SlofiAでは主に海外情勢に関する記事、金融工学や機械学習に関する記事を担当。

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