楽天市場で顧客が求めるのは「送料無料化」ではなく「支払額のソート機能」である

2020年3月から楽天市場で導入が予定されている「送料無料化」は、これまでのストア毎に決定していた送料無料ラインではなく、3,980円以上の購入に対して一律に適用するものである。より高い金額を送料無料ラインとしていたストアにとっては、それだけ梱包や発送にコストがかかるため強い反対が起きている。

参考:日本経済新聞「楽天の「送料無料」に反旗 出店者、公取委に調査要請」2020年1月23日

楽天市場の言い分では「送料が分かりにくい」という問題を解消するのが目的だが、そもそもユーザー目線で見れば、送料が分かりにくいのは楽天市場のUIのせいである。

送料無料が適用される金額がストアによって異なるのは当然だが、多くのユーザーにとっては商品を探す場合、最初からその部分を気にしないはずだ。

少額の買い物であれば、同じ商品であれば基本的には「商品価格+送料」が安い方が良いはずだ。この時、送料無料の条件を満たしていない事が多く、商品を探す時にあまり気にする人はいないだろう。逆に高額の買い物であれば、大抵は送料無料の条件を満たしているので、この時も「商品価格+送料」が安いのを探していけば(多くの場合は)最安値を見つけられる。

つまり、「商品価格+送料」が安い商品を見つけられるということが顧客にとって重要なのである。2020年1月23日時点で、「商品価格+送料−獲得予定ポイント」にチェックを入れれば「実質価格」として表示されるが、実質価格順にソートすることはできない。

下図は名糖産業のレモネードC500(470g)*1について、実質価格表示を有りにして「安い順(商品価格)」でソートしたものだが、その名の通り商品価格が安い順番に並ぶだけであり実質価格順ではない。

楽天市場の商品検索結果(2020年1月23日時点)

そもそも論として、

  1. 実質価格でのソート機能
  2. ショップの送料無料条件の表示

がされていれば、大半の問題は片付くはずである。

ショップにとっては商品価格と送料は重要な違いであるが、顧客にとっては違いはどうでも良いのである。重要なのは1のソート機能だが、それを実装せずに送料無料化を一律に適用することで店舗側に一方的に負担を強いるのは問題があると言えよう。そして、2のように検索結果に表示されるストア名のところに送料無料の条件が表示されていれば事足りる。

この検索結果での表示が分かりにくいということであれば、「最安ショップを見る」と押したときのショップ情報に送料無料の条件が表示されれは十分である。

*1:なぜレモネードかと言えば、毎日のようにこのレモネードを飲んでいるからである。湯だけでなく水でも溶けるので夏でも冬でも楽しめる。あまり甘すぎないのが良い人にオススメである。

       

この記事の著者 HAL について

金融・マーケティング分野の機械学習システム開発や導入支援が専門。SlofiAでは主に海外情勢に関する記事、金融工学や機械学習に関する記事を担当。

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