eコマースで無料返品を悪用する人達:ブラケティング

Amazonなどeコマースでは、服や靴などの場合は一定の条件を満たしていれば試着後でも全額返金での返品が可能である。これは思った通りの色でなかったり、サイズが合わなかったりするケースがあるからである。

しかし、世の中にはこの仕組みを悪用して、一度に同系製品について、複数のサイズや色を多数購入し、好みやサイズに合致したものだけを購入し、他の全てを返品するという人がいるらしい。

これは業界用語でブラケティング(bracketing)というらしい。ブラケット(bracket)は「角カッコ」や「ひとまとめ」という意味合いがある。

似た製品をまとめて買い、試着して自分に合うもの以外は全て返品することを指す。写真において露出などの設定を少しずつ変えながら撮影することをブラケティングというが、イメージ的には似たようなものだ。

narvarが公開したオンライン返品についての調査レポート”The State of Online Returns: A Global Study”では、オンライン返品の実態が細かく調査されている。

調査対象国(米国、英国、フランス、ドイツ、オーストラリア)の3,519人の消費者のうち、平均で56%の人がブラケティングを行ったことがあると回答している。このうち「サイズなどが不明瞭な場合にのみブラケティングを行う」と回答したのは15%に過ぎず、残りの人は気軽に日常的にブラケティングを行う様子が伺える。

ブラケティングを行う人は年々増加傾向にあり、僅かな割合の顧客が返品全体の多くの割合を占めるようになっているという。

レポートには日本は対象国に入っていないが、日本でも「Amazonの返品無料サービスの裏ワザ」なる記事がいくつも出てくるので、悪用している人は少なからずいると思われる。もっとも、やりすぎてAmazonでブラックリスト入りしたという話もよく出てくる。

ブラケティングはそれだけ配送コストを無駄にeコマース側に強いるものである。個々人のブラックリスト入りだけでなく、無料配送自体の持続性などサービスの悪化につながる可能性もあるとして、レポートでは顧客も意識を改める必要があると指摘されている。

今回紹介した内容は衝撃的だったブラケティングの実態部分のみだが、実際のレポートでは、返品のやりやすさなどについてなど様々な調査結果がまとめられている。

参考文献:narvar, “The State of Online Returns: A Global Study”

       

この記事の著者 HAL について

金融・マーケティング分野の機械学習システム開発や導入支援が専門。SlofiAでは主に海外情勢に関する記事、金融工学や機械学習に関する記事を担当。

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