未来の情報伝達の形はVRではなくxR

オンラインでの情報伝達手段は、掲示板やブログなど文章主体のものからTwitterのように短文志向に代わり、そしてInstagramなど画像へ、そしてTik Tokなど短時間動画などにシフトしてきた。TwitterやInstagramでも動画の共有が増えている。

この背景には当然インターネットの高速化があるが、それだけでなく「より少ない情報を簡単に分かりやすく伝える」方向性に動いてきている。

ここで言う情報はデータ量ではなく、伝達された情報に含まれる「文字」のことだ。テキストよりも画像、画像よりも動画の方がデータ量は多い(ブログとツイートは除く)が、データ量当たりの文字数(音声ならその文字数)はどんどん減ってきている。その代わり画像の方が視覚的にわかりやすかったり、更に音声もあれば五感を多く使うので記憶にも定着しやすい。

過去のMyspaceやmixiなどの盛衰を見ても分かる通り、永遠に繁栄が続くようなウェブサービスは無いと言って良い。すると今は最盛期であるInstagramのようなものもいずれは衰退する未来があるはずだ。

文章→短文→画像→動画という変遷を見れば、よりデータ量が多くリアルに近い情報伝達手段に変わってきていることが分かる。となると、次はより立体に近いものが情報伝達手段として採用されることにならないか。

ぱっと思いつく既存の技術はAR(拡張現実)やVR(仮想現実)だが、情報伝達手段としては今のところ煩雑過ぎる。Facebookが VR SNS「ホライズン」を発表するなど、SNSの立体化を図っているが、筆者はこうしたものは過渡期のものと考えている。

VR自体はよりリアルなエンターテインメント(ゲーム、ポルノ、映画、旅行など)の手段として、より安価に優れたものが市場に出回るようになれば拡大すると思われる。しかし、一方で友人とコミュニケーションを取ったり、有名人がシェアしたスイーツを見るのにいちいちVRヘッドセットを被る未来はあまり想像したくない

例えば、スマートコンタクトレンズなど視覚的にダサくないもので簡単に現実世界と仮想的な世界を行き来する、もしくはその混合的な状態に入れるのが未来のSNSや情報伝達手段の在り方だと考えられる。(ださくないというのは重要である。最初のGoogle Glassが失敗した原因の一つに確実にデザインがあるし、極端な話、冒頭画像のようにVRゴーグルを被って外出するようなものは普及しにくい。)

これは、ARやVRではなく、その混合であるMR(混合現実)、仮想世界を現実に置き換えてしまうSR(代替現実)など、より複合的で現実世界とシームレスなものが将来的に今のInstagramの立場を得るだろう。こうしたものを総称してxR(X Reality: Cross Reality)と呼ばれるが、こうしたものが長期的に見れば支配的になると考えている。

例えば、実際に友人同士で会っている中に、別の人を複合現実として登場させてコミュニケーションを取るだけでなく、周囲に入る「見たくない人を代替現実で目に入らないように消してしまう」(ブロック)など現実世界とオンラインのコミュニケーションの垣根が少ない環境を想像できる。

若い人ほどオンライン上の「友人」というものへの抵抗感は少ないし、会社や学校などでの出会いとの区別も少なくなっている。つまり、xRを受け入れる素地は既にあるということだ。

問題は技術である。こうしたコミュニケーションを可能にするインターネット環境は5Gやら将来的な6Gなどで対応できるだろう。問題は現時点でのVRなどの技術は、それ単体は迫力があるが、ヘッドセットやゴーグルをつけなくてはならない時点でコミュニケーションツールとしては利用しづらい。

       

この記事の著者 HAL について

金融・マーケティング分野の機械学習システム開発や導入支援が専門。SlofiAでは主に海外情勢に関する記事、金融工学や機械学習に関する記事を担当。

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