潜在需要は抜群だが販売はこれからのタトゥー除去企業ソリトン

2019年2月に5ドルでNASDAQに上場し、7月には一時21.97ドルまで上昇したが、じりじりと株価を下げているソリトン<NASDAQ: SOLY>だが、マキシムグループが買い推奨にして目標株価を22ドルにするなどして俄に注目を集めている。

12月20日終値で10.93ドル、時価総額にして1.8億ドル程度の新興企業である。それ以上に超ハイリスクな銘柄である。なんといっても売上がゼロだから。

2012年に創業して以来、タトゥー(刺青)除去の研究開発を進め、最近ようやく除去装置が臨床試験を完了し、FDAの承認を得られた段階であり、商品化はこれからである。

参考:soliton, “Soliton Announces Successful Completion of Safety Testing at SGS to Support FDA Filing for Second Generation Device”, 18 Dec 2019

それでも注目を集めているのは謳っている技術の高さと潜在需要の多さが要因である。

まず、既存の米国のレーザー治療は2年かけて10回以上の痛みを伴う治療を受ける必要があり、その度に100~400ドルの費用がかかる。それに対してソリトン社の音響衝撃波技術による治療は2~3回の治療で刺青除去が可能であり、少なくとも臨床試験では高い効果を発揮している。

また、CNBCがまとめたところによれば、

  • Klempの推定によれば刺青除去業界は数十億ドルの規模がある
  • 脱毛・皮膚治療を行う1万以上のレーザークリニックのうち刺青除去を提供しているのは千未満
  • Harris Pollの調査では、米国人の1/3は刺青をしており、ミレニアル世代に限れば半数以上だが、刺青所有者の1/4が「刺青をしたことに後悔したことがある」

と潜在需要は抜群である。若い世代を中心に米国では刺青が珍しくない文化となっているが、後悔する人は少なくなく、いざ除去しようと思えば時間・費用・苦痛がかさむわけである。

それでも他の医療機器メーカーも技術開発や製品提供を進めており、競争圧力も高い。面白いが何度も言うが「販売はこれから」であり、競争相手も多いことから超ハイリスクであることには変わりは無い。

参考文献:CNBC, “Tattoo removal company seeks to ride a wave of millennial ‘regretters'”, 21 Dec 2019

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金融・マーケティング分野の機械学習システム開発や導入支援が専門。SlofiAでは主に海外情勢に関する記事、金融工学や機械学習に関する記事を担当。

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