2019年10月、CompareCardsは人口構成比に合わせて764人のクレジットカード所有者を対象にオンライン調査を行った。「医療費の高さ」と「クレジットカード債務の多さ」がよく指摘される米国だが、医療費をクレジットカードで支払って多額の債務を負っているケースも多いようだ。
調査の主要結果は以下である。
- クレジットカード所有者の約6割は医療費の支払いによりカード債務を負っている
- 56%は過去にクレジットカードで医療費を支払ったことがある
- 女性よりも男性、高所得者よりも低所得者、高年者よりも若年者の方がクレジットカードで医療費を支払う傾向がある
- 医療費をクレジットカードで支払った人の60%が他に支払う手段が無いと回答
- カード所有者の18%(ミレニアル世代なら25%以上)が医療クレジットカードを持っている
以下は調査時点でクレジットカード負債のうち医療費によるものがいくら残っているかについて問うたものである。41%は医療費による負債が無いが、残りの59%は医療費による負債が残っており、1,000ドル以上とまとまった金額の負債が30%となっている。(引用元の記事がクレジットカード所有者の1/3が医療費による債務を負っているというタイトルとなっているが、1,000ドル以上を指していると思われる。)
カード社会の米国において医療費をクレジットカードで支払ったことがある人が多いことや、男性や低所得者の方がクレジット利用率が高いことも不思議ではない。クレジットカード負債に追われて”live paycheck to paycheck”(その日暮らしをすること)はこうした属性の人が多いからだ。
ポイントは4の「60%の人は他に支払い手段が無い」と考えているということだ。レポートによると、例え突発的に多額の医療費がかかったとしても、
- 医療機関によっては、無利子の代わりに直接送金する決済プラン
- 医師や病院が同意すれば無利子で借りられる医療ローン
などがあり、平均15%~20%の年利率のクレジットカード債務を負って支払う必要は無いと指摘されている。また、5人に1人はカード会社に電話で年利率の引き下げ交渉を行って、そのうち80%は金利引下げに成功している。この辺りも米国内での金融リテラシー格差が垣間見えるところである。
また、5のように若年層を中心に医療クレジットカードを持つ人が多く存在するが、最も有名なCareCreditは最初は金利がかからない若しくは低金利であるが、無金利・低金利期間が終了すると、決済日当初から年利率が26.99%かかったものとして利子が請求されるという。これは0%APRクレジットカードなどとも仕組みがよく似ている。
参考文献:CompareCards, “1 in 3 Cardholders Are in Credit Card Debt Due to Medical Bills”, 5 Nov 2019