悪名高い米国の0% APRクレジットカード

米国でクレジットカードの債務に追われる人が多いというのは有名である。その背景には収入の問題があったり金融リテラシーの問題があったりするが、その反動でクレジットスコアが重要になっているなど、リテラシーの有無に関わらず米国人とクレジットカードは切っても切り離せない関係である。

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そんな中、米国の中でも金融リテラシーが低い人に付け込むようなサービスとして悪名高いのが0% APRクレジットカードだ。0% financeと呼ばれるスキームの一つである。

APRはAnnual Percentage Rate(年率)の略で、0% APRではなく0% Intro APRと表記されていることも多い。要するに「最初だけ金利が0%のクレジットカード」である。

多くの人は1回払いが基本であり、クレジットカードの金利など払ったことが無い人が多いと思われるが、「景気後退に備える=クレジットカードの残債を支払う」人が一定数いる米国においては、分割払いも別に珍しくない。

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そんな米国だからこそ「一定期間金利0%」というビジネスが成立する。日本でもサラ金などでは1週間とか1ヶ月だとかノーローンといったものがあるが、米国における0% APRは12ヶ月や15ヶ月など長期に渡るものが多い

勿論、これは決して美味しい話ではなく、期間内に返済できなければ当該期間中にかかっているはずの金利が全て上乗せされるというのが0% APRクレジットカードの仕組みである。

creditcards.comで紹介されている0% Intro APRクレジットカードを見れば、

  • 0%金利期間:12~18ヶ月
  • (完済できない場合の)適用年利率:15~25%

と高率なものが多く、0% APRを批判する人は「ペナルティAPR」と呼んでいるケースが多い。

更に色々と落とし穴がある事も多い。例えば以下のような、0% APRを解除させて一気に金利が乗っかるような条項があるクレジットカードが多い。

  1. 月々の最低返済額を支払わないと0% APRが解除される
  2. 他のクレジットカードからの残高転送には0% APRが適用されない
  3. キャッシングは他のクレジットカードよりもAPRや手数料が高い

期間内は0% APRと言っても、1のように、月々の最低返済額を課しているクレジットカード会社は多く、それを忘れて0% APRが解除されるケースは多い。例えばバンク・オブ・アメリカであれば、「25ドルもしくは残高の1%のうち金額が大きい方」という規定がある。0% APRの対象でない借り入れがある場合は、それに加えて金利と延滞料が最低返済額となる。

2は「0% APRクレジットカード」として大々的に宣伝し、残高転送(つまり借り換え)をした挙げ句、0% APRが解除されてしまうケースである。例えば返済期限が残り1ヶ月に迫ったとして、別の15ヶ月0% APRのクレジットカードに借り換えた場合、多くの場合は0%金利は適用されない上、以前のクレジットカードの0% APRも解除されてしまう。

3は多重債務者に多いようだが、0% APRクレジットカードで資金繰りに余裕が出たと「思い込んで」更にキャッシングをしてしまうケースである。ただでさえ金利が高いクレジットカードのキャッシングだが、0% APRカードだと更に高いケースが多い。

こういうわけで0% APRクレジットカードを批判する人は多いが、米国では昔から盛んに宣伝されており、そこに引っ掛かる人も少なくないというのが現状である。

参考文献[1]:Nerd Wallet, “5 Facts About 0% APR Credit Card Deals”, 6 Mar 2015

参考文献[2]:creditcards.com, “0% Intro APR Credit Cards”

参考文献[3]:credit karma, “What you need to know about a credit card minimum payment”, 7 Aug 2019

       

この記事の著者 HAL について

金融・マーケティング分野の機械学習システム開発や導入支援が専門。SlofiAでは主に海外情勢に関する記事、金融工学や機械学習に関する記事を担当。

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