米国の5人のうち2人が景気後退に備えていない

米国の消費者金融会社Bankrateは、9月25-27日にYouGov Plcを通して米国人2,605人に調査を行った。調査では、景気後退の兆候が様々な指標から見える中、それに準備ができているか、どのような準備をしているかというものについて質問された。

景気後退への備え

下図は、「今後6~12ヶ月以内に景気後退入りしたとして、それに備えられているか」という質問に対する回答結果である。「あまり準備できていない」と「全く準備できていない」を合わせると40%であり、5人のうち2人は景気後退に備えられていないことが分かる。

どうやって備えるのか

景気後退に備えると言っても、投資家ならいざ知らず、日本人なら多くの一般国民にとってはそれほど対策を取るという発想は少ないかもしれない。せいぜい消費を抑えるくらいだと思うが、解雇規制が緩く、クレジットカード負債が多くて”live paycheck to paycheck”と呼ばれる暮らしをする人も少なくない米国においては、景気後退に様々な形で備えておくことは重要になる。

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以下は、「景気後退に備えて何を行っているか」についての複数回答結果である。やはり「消費の抑制」が44%と最も多いが、「緊急時に備えた貯蓄」(33%)や「クレジットカード負債の支払い」(31%)など、急激な所得減少に対応できない生活スタイルである人や、クレジットカード負債が問題になっている人の多さを匂わせる。

15%が回答している「退職に備えた貯蓄」は、どちらかと言えば所得が多く経済的余裕が高い人に多いようである。「その他」は、大学院での学位取得、副業探し、住宅ローン返済などである。

属性別回答傾向

所得別に見れば、年間所得が80,000ドルを超える人の78%が景気後退に準備できているのに対し、40,000ドル未満の人は52%しか準備ができていない。

一般的には所得階層で傾向が分かれるが、世代別に「景気後退に対して何らかの対策を講じているか」について聞けば、その結果は興味深い。以下がそれに対する結果である。但し、これは準備が完全であることを意味しない。多かれ少なかれ「何らかの備えをしている人の割合」であり、意識面が強い。

これによると、若い世代であるY世代(原文ではミレニアル世代と表記されているが、年代の整合性から考えてY世代と表記する方が妥当と考えこのように表記した)とZ世代の方が景気後退に備える意識が高いということが分かる。

所得が低い方が対策ができていない傾向はあるが、意識としてはやはり若年層の方が景気後退に備えられているという点で特徴的だろう。また、以下の記事のように、Y世代(ミレニアル世代)とZ世代を比較すれば、不況期に生まれたZ世代の方が貯蓄を重視すると言われるのとは逆の結果であることも興味深い。

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全般的には経済的に余裕がある人が多い高年齢層の方が準備ができているが、X世代はあまり対策を講じれていないのも特徴的である。

レポートの結論としては「緊急事態に備えられる6ヶ月分の貯蓄」が推奨されている。これは裏返せば経済の急激なショックに対して備えられていない米国人があまりにも多いことの証左でもある。

参考文献:Bankrate, “Survey: 2 out of 5 Americans aren’t ready for next recession”, 16 Oct 2019

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