ワインや日本酒であれば、それほど酒に詳しくなくても、良し悪しの違いが分からなくても、単純に味の違いは識別できるものは多い。
しかし、ウォッカとなるとアルコール度数だけがきついだけでどれも味が同じように思える。しかし、これはウォッカを飲み慣れていないからではなく、本質的に味が同じであるという。
米国ナショナル・パブリック・ラジオ(NPR)が運営するポッドキャストPlanet Moneyでアレックス・ゴールドマーク氏らが、米国で流通する3種類のウォッカ(高級品から最安品まで)を独立した研究所に送り、味について分析してもらったところ、「全て味が同じ」という結果が返ったという。
もっとも、高いウォッカが高値で売れるのはパッケージなども含んでブランドが重要なのであるが、それにしても味が全く同じというのは驚きだ。
同じであるカラクリは「法律で決まっているから」である。連邦規則集27巻5.22にウォッカは以下のように定義されている。
“Vodka” is neutral spirits so distilled, or so treated after distillation with charcoal or other materials, as to be without distinctive character, aroma, taste, or color.
要するに、「特徴的な香りや味、色がなくなるまで蒸留されている」ということが流通するウォッカの条件であり、これは要するにウォッカとは「非常に純度の高いアルコールを精製して水を混ぜる」というものであり、どのメーカーでも基本的に同じものができる。
違いが出るとすれば混ぜる水の違いであろうが、日本酒における水に比べればその差異は非常に微細である。
通常のブランド品は、ブランドを裏付ける製品の質などの違いがあるが、ウォッカの場合は文字通り中身が同じという意味で非常に興味深い。
参考文献:Entrepreneur, “All Vodka Is the Same. So Why Is Some More Expensive Than Others?”, 6 Aug 2019