要約
- 米中貿易交渉の楽観ムードが広がり、2019年に入って銅価格が上昇し続けている
- 金属の特性上、電力に関係する分野への需要期待が大きく、供給不足も懸念される
- 中長期的には世界的な景気減速の影響による需要減が心配される
銅の復活は続くのか?中国がXファクター(Market Watch)
- 2018年に大幅に下落した銅先物価格は2019年に入って大きく回復
- 強気の立場は(1)再生可能エネルギー、(2)電気自動車、(3)供給ギャップ
- 弱気の立場は(1)米中貿易交渉、(2)世界経済の減速
解説
銅先物価格は2018年に約20%下落したが、2019年は2月22日時点で14.2%という驚異的な相場回復を見せている。
米中貿易交渉の楽観視が主な理由で、プラチナに対するパラジウムなどと違い、安価で導電性が高い銅は、やはり「電力」周りに対して強い需要が見られる傾向があり、今後も長期的に伸びていく再生可能エネルギーと電気自動車に対する期待感から価格が回復していると見られる。
また、International Copper Study Groupは2019年の世界の銅供給不足が65,000トンに達すると予想しており、
- 各国の電気自動車へのシフト
- 銅鉱山の属人的労働の多さ(人手不足)
が価格を押し上げると見られている。回復傾向にあるとは言え2018年の最高値には遠く及ばないというのも強気の理由だ。
一方で、米中貿易交渉によるワン・ディシジョン・マーケットの傾向など短期的にも不安は多く、中長期的には経済成長率の鈍化という需要面での不安が残るのも実態だ。
筆者としては、少なくとも米中貿易交渉について楽観的な状態が続いている間は強気な相場が続くと考えている。 但し長期的にはあまり期待していない。
参考文献
Market Watch, “Will copper’s revival last? China is the X-factor”