ベトナム水産物輸出業者協会(VASEP)によると、バサ(チャ魚。英名はpangasiussやShark catfish。日本では「ベトナム産養殖ナマズ」として売られることが多い。)の価格は10月に大幅に回復してきている。
以下は2019年12月以降のバサの価格帯と輸出額(通貨単位が揃っていないのに注意)を示している。新型コロナウイルスに伴うロックダウンなどで2020年1月の輸出額が大幅に下落したことを受け、価格帯は低迷し、9月には17,000~18,000VNDまで低下していたが、10月に一気に20,500~21,800VNDまで回復している。
一方で輸出額については徐々に回復傾向にはあるが、未だコロナ以前の水準には程遠い。VASEPによれば、それでも価格帯が上昇しているのは、クリスマスから年明けにかけて需要が大幅に増加すると考えられるからである。
また、ヨーロッパ–ベトナム自由貿易協定(EVFTA)の恩恵を受けられていることも大きいようだ。これは繊維産業の状況とは大きく異なる。
ファイザーのワクチン報道などポジティブな要因がある一方で、欧米を中心に新型コロナウイルスは相変わらず猛威を振るっている。今のところ「期待」で相場が上昇している度合いが強く、実際に輸出額も回復していくかについて注視していく必要があろう。
参考文献:Vietnam+, “Mekong Delta’s seafood exports recover”, 11 Nov 2020