ベトナムの持続可能なエビ養殖が面白い

高品質製品に力を入れるなどして回復基調にあるベトナムのエビ養殖産業だが、多くの水や土地を使う事業の性質を考えれば、ESGやらSDGsの流れに対応できるようにしていかなければならないのが現状である。

関連記事:明暗分かれるベトナムのエビとバサ(チャ魚)

そんな中、メコンデルタに位置するバクリエウ省(Bac Lieu)で進められている持続可能なエビ養殖モデルが非常に興味深い。

なんと、雨季に水田で米を栽培し、乾季に同じ水田でエビを養殖するというのだ。shrimp-rice farmingと呼ぶようだ。異なる作物を季節に応じて植えるなら二毛作というが、片方がエビなら何と言うのだろうか。

米の収穫量は1ヘクタール当たり4~4.5トン、同じ土地でエビの収穫量が230~350キログラムになるようで、土地を有効活用できるとともに、新たにエビ養殖場を開拓しなくて良いので環境に良いのがポイントである。

省内に既にこのモデルを適用している水田が37,700ヘクタールあり、農業普及センターによると50,000ヘクタールにまで拡張する余力があるという。

また、並行して稚魚の養殖も含めたハイテク養殖場や廃棄物処理施設を含めた超集約型養殖場の開発を進められており、農業開発局や水産養殖管理協議会などが連携し、農家がエビを養殖できるように訓練を行っている。

米農家にオフシーズンにエビを養殖させるというアイデアは、ノウハウが全く異なるので、技術的な訓練は必要だが、「多くの土地と水を使う」という共通点から季節に応じて米とエビを作り変えるというのは大胆で非常に面白い。

参考文献:Vietnam+, “Bac Lieu to expand 2 sustainable shrimp farming models”, 26 Oct 2019

About HAL

金融・マーケティング分野の機械学習システム開発や導入支援が専門。SlofiAでは主に海外情勢に関する記事、金融工学や機械学習に関する記事を担当。

View all posts by HAL →