ベトナム通信社によると、ベトナム中央高地の農園ではコーヒーの収穫時期に入っているが、ベトナムコーヒー・ココア協会(Vicofa)は、政府に備蓄を増やすための補助の延長を申請した。
背景に国際的なコーヒー価格の下落があり、今回の申請は10月21日にホーチミンで開催されたベトナムコーヒー輸出者会議での結論が元となっている。
以下の国際コーヒー機関(ICO)の資料を見ても分かる通り、ベトナムで中心的に栽培されているロブスタ種(Robustas)は、他の品種の価格が上昇に転じ始めているのに対し、未だ下げ止まった程度である。
コーヒー価格はここ10年で最低レベルにあり、2019年1~9月のベトナムのコーヒー輸出量は前年同期比で12.5%減、輸出額で20.9%減を記録している。
ロブスタ種だけ価格が上昇に転じていない背景には、除草剤の有効成分であるグリホサートの残留などについて欧州諸国が規制を強めていることもある。現在、ベトナムはコーヒーの高品質化を進めているが、低資本・非効率なコーヒー農園が多い事態は変わらない。その中でのコーヒー価格の下落は農家の資金繰りを悪化させており、重要な課題となっている。
その中で出てきたのが今回の政府への提案である。具体的には、農家の債務救済の延長を提案した上で、企業がコーヒーを一時保管するために最大6ヶ月間低金利で借りられるようにするというものである。要するに低価格の状態で出荷を進めて更に価格を下落させないようにするための出荷調整である。
他にも、会議では2019年4月にグリホサートを含む除草剤を禁止する農業・農村開発省の決定を高く評価した上で、農家にこうした除草剤の利用をしないように徹底する要請も行われた。
参考文献[1]:International Coffee Organization, Monthly Coffee Market Report – September 2019
参考文献[2]:Vietnam+, “Coffee stockpiling recommended due to low prices”, 26 Oct 2019