ジャポニカ米の輸出を目指すタイ

タイ料理の米と言えば細長くて硬いインディカ米(タイ米)だ。嘗てはタイの米輸出量は世界一であったが、現在はインドにその地位を明け渡し、後ろからベトナムも迫ってきている状況である。

米輸出量上位10ヶ国(単位:1000トン)
出典:statista

アジアで生産される米の品種は主に3種類である。日本などで一般的に食されるジャポニカ米とインディカ米に加え、ジャポニカ米の亜種であるジャバニカ米(見た目はジャポニカ米に近いが食感はインディカ米に近い)だ。もっと大雑把に分ければ、ジャポニカ米は軟質米、インディカ米とジャバニカ米は硬質米とも呼ばれる。

インドとタイはインディカ米の生産が主であるが、ベトナムが輸出市場で猛追しているのはジャポニカ米を主に生産しているからである。日本や中国、ベトナムなどでジャポニカ米が多く食べられるだけでなく、日本食ブームなどでそれ以外の国でもジャポニカ米の消費量が増えているからだ。

日系チェーン店が多く進出するタイでも、ジャポニカ米の消費量は増えており、一つの市場となってきている。一方で、生産面では相変わらずインディカ米が主であり、国内外でのジャポニカ米市場の拡大について行けていないのが現状である。

今年に入ってタイ米輸出業者協会(TREA)は、軟質米の一種であるKorKhor 79 (RD79)<Rice Department 79の意>という品種の生産を推奨している。病気に強く高収量であるだけでなく、2019年に問題になった干ばつにも強い品種ということで、インディカ米からの転換を推奨している。

この品種の開発には10年もの歳月がかかっており、今後はジャスミン米のように香りが良い軟質米の開発なども進められていくようだ。この種の取り組みがすぐに何らかの影響を与えるものではないが、将来的には米の輸出市場や相場に影響を与えていく可能性がある。

参考文献[1]:Pattaya Mail, “Thailand to farm new rice variety seeking export advantages”, 22 Jun 2020

参考文献[2]:Bangkok Post, “Thailand bets on new rice grain to feed the world”, 13 Nov 2020

About HAL

金融・マーケティング分野の機械学習システム開発や導入支援が専門。SlofiAでは主に海外情勢に関する記事、金融工学や機械学習に関する記事を担当。

View all posts by HAL →