ディープフェイクに対する注目は強く、当サイトでも以下の記事は閲覧数は多い。(残念ながらエロい事は一切書いていない。)
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上の記事はカリフォルニア州によるディープフェイク対策についてだが、民間部門でもSNSやメディアを中心に具体的に対策しようという動きが広まっている。今回報道されたのは、Adobe(アドビ)とTwitter、ニューヨーク・タイムズ(NYT)による提案である。
Adobe, Twitter, NYTがディープフェイクと闘うための取り組みを開始(AXIOS)
- 誰が画像や動画を作成し、どのような変更が加えられたかを明確にするための新しい業界での取り組みを提案
- Adobeは、作成者や発行者が属性データをコンテンツに安全に添付できるようにするオプトインシステムを提案
- オープン規格を想定し、ロサンゼルスのAdobe Maxカンファレンスでプロトタイプを公開
- 「画像や動画がキャプチャされた瞬間から安全なパスを作成する」事を目的としたスタートアップTruepicも重要視されている
- コンテンツの真正性の証明には「ブロックチェーン」や「単一企業が保持するデータベース」など幾つか候補がある
- 誤情報に対処するためにはエコシステム全体の連携が必要で、誰もが情報品質やメディアリテラシーに責任を持つ
- 来月にAdobe本社で全ての利害関係者を集めた会合が計画されている
補足
技術面ではAdobeの主導であるが、ニューヨーク・タイムズはマスコミとして真剣に取り組まなければならない問題であるし、フェイクニュースの拡散経路としてもよく使われるTwitterにとっても無視できない問題である。
最大のネックは認証情報へのアクセス性と真正性のトレードオフ関係である。
ブロックチェーンやそれに類する分散トランザクションシステムを利用した試みは多いが、実際にやろうとすると仕組みが煩雑になり、ユーザーが認証情報を検証する手間も多くなる。画像や動画に埋め込まれた情報を確認するために、いちいちブロックチェーンによるトランザクション履歴をダウンロードしたり検索したりするのは煩雑かもしれない。
最もシンプルなのは特定の企業や団体が単一のデータベースを保持することである。これは多くの認証情報などで採用されている方式ではあるが、その情報を持つ企業が信頼できるか、或いはどの企業が保持するのかといった利害関係など単純な問題ではない。
これに関してAdobeはパートナーの意見を聞くことを明言しており、結論は出ていない。
参考文献
AXIOS, “Adobe, Twitter, NYT launch effort to fight deepfakes”, 5 Nov 2019