以前から当サイトでは新型コロナウイルスが今後収束していくかの判断基準として東南アジアや南アジアなど今後非常に暑い季節を迎える国の動向を見るべきだと指摘してきた。インドの感染例が少ない理由としても挙げているし、タイのソンクラーンにおける帰省で拡大するかを見るべきとも主張した。
タイの正月ソンクラーン(4月13~15日)の休日は新型コロナウイルス拡大の影響を受けて「延期される」ことが決まったので、タイの帰省による感染拡大を見ることはできなくなったが、上記記事で指摘した以下の内容が重要である。
しかし、タイの地方に行くほど貧困によりエアコンが無い住宅が増える。(タイでは安ホテルやアパートもエアコン付きか扇風機だけかで値段が大きく変わる。)貧しい家ほど暑い中で家族間の濃厚接触が起こるわけであり、その中で感染が拡大していくかが判断のポイントであろう。
新型コロナウイルスが暑さに弱いかはソンクラーン後のタイを見るべき(2020年3月13日)
いくら暑いと言っても、タイではエアコンがガンガンに効いているので、そこで濃厚接触があれば感染が拡がってしまう。なので田舎での移動動向を見るべきだと指摘したわけだ。
そこでもう一歩進み、東南アジアと南アジア諸国の感染率(人口100万人当たり感染者数)と一人当たり電力使用量(kWh)を見たのが下表である。本来はエアコン普及率などが良いだろうが主要国以外のデータが揃わなかったので、代用として電力使用量を使っている。他に2月における首都の平均気温・降水量なども示している。
全体として100万人当たり感染者数が多い5ヶ国のうち、ブルネイ・シンガポール・マレーシア・タイの1人当たり電力使用量は多い。人口当たり感染者数と電力使用量のピアソン相関係数は0.821と高く相関している。モルディブは例外であるが、人口が少ない島嶼国での発生なので、やや性質が異なると思われる。
ベトナムやインドネシアは上位の国に比べても電力使用量は少なく、感染率も低い。インドもかなり感染率が低い部類に入るだろう。ブータンの電力使用量は多いが、これは高地で気温が低く暖房利用が多いのが影響している。