カルフールはブロックチェーン追跡を利用した食品の売上が伸びている

ブロックチェーンの現実的な用途として、農産物などについて生産者から流通過程をブロックチェーンで記録して、食品の安全性やブランドを保証し、GAP認証を取得するといった方法が積極的に行われている。

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方法論としては興味深いが、ブロックチェーン追跡を利用することで実際に売上が伸びている、という報告がフランスの大手小売チェーンであるカルフールから出てきた。

ブロックチェーン追跡が一部の製品の売り上げを伸ばしている、とカルフールが報告(Reuters)

  • カルフールは鶏肉、卵、生乳、オレンジ、豚肉、チーズなど20品目のブロックチェーン情報を公表している
  • ベビー用品や自然商品など、消費者の安心に対するニーズが高い分野に焦点を当てて、今年は更に100品目を追加する予定
  • 販売場所に添付されたQRコードをスマホで読み取れば、 収穫日、栽培場所、農地の所有者、梱包時期、輸送時間、生産方法などの情報を取得できる
  • QRコードを利用した生産地確認は中国で非常に人気で、ついでイタリアとフランスで普及している
  • 特にボンタンと鶏肉で前年比で売上増加の効果が見られる

補足

食の安全性に対する関心が高い中国と、GAP認証など先進的な取組みが普及するヨーロッパを中心に、QRコードを利用した生産地確認方法で効果が出ている。

カルフールは実際にどれくらい売上が増加したかは公表していないが、今後100品目に増やしていくという事から考えれば、投資効果が十分に見られたと考えて良いだろう。

QRコードから得られる情報は、単純なテキスト情報だけでなく動画などもあるようで、農家で実際に養鶏している様子を映したビデオなども人気が高いという。

同記事によると、カルフールは将来的には、

  • 衣料品など食品以外の製品の追加
  • 農家が受け取る報酬金額など付加的な情報
  • QRコードに依存しない情報提供

を目指している。

一方で、あまりに多くの情報を共有する事に農家が抵抗感を示すといった問題もあり、今後の展開も簡単な問題ではない。

参考文献

Reuters, “Carrefour says blockchain tracking boosting sales of some products”, 4 Jun 2019

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金融・マーケティング分野の機械学習システム開発や導入支援が専門。SlofiAでは主に海外情勢に関する記事、金融工学や機械学習に関する記事を担当。

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