これから伸びるベトナムの自動販売機ビジネス

ハノイ・タイムズによると、市の方針で今後2020年までにベトナムに首都ハノイの開発に併せて自動販売機を1,000台稼働させる予定である。

設置される場所は市の中心部や駅、学校、病院などの人口密集地域である。これまで3年間にわたり、市中心部のホアンキエム湖の周辺に7台の試験稼働が行われていたが、その成功を受けての展開である。

自動販売機を手掛けるVVM Investment and Trading Joint Stock Companyは、これらの自動販売機の月平均売上高は約2,100ドルであり、上々の売上高である。

7台のサンプルなので単純に比較できないが、日本自動販売機工業会の資料によると、自動販売機の月別平均売上高は、2016年は代表的なもので、

  • 清涼飲料:68,000円
  • 酒・ビール:104,166円
  • 食品:65,000円
  • たばこ:90,255円

と高単価な酒や煙草でも半分以下である。また、日本の自動販売機市場は年々縮小している。

ベトナムで自動販売機が期待される理由は、まだまだ自動販売機が少なく珍しい上、日本ほどコンビニが普及していないことが挙げられる。

そして、ベトナムで行政が自動販売機設置を推進する背景には、「観光客に法外な値段で食料品などを売りつける店」を一層するのも目的である。

先進国からの観光客にとっては安くても、現地の物価から見れば法外な値段で売りつける人間はどこにでも一定数存在する。(いわゆる「カモ」を狙うわけだ。)

こうした問題は、中長期的に見れば都市としてのイメージの悪化や治安悪化にも繋がる。また、不正の摘発を進める政府のスタンスとも一致するだろう。

また、視点を変えれば「自動販売機を置けるほど治安が良くなった」という側面も考えられる。日本は自動販売機大国であるが、その背景には「治安の良さ」がある。思うほど自動販売機の普及が進まない国が多いのは、文化的な問題もあるが、治安の問題も大きい。

1,000台の設置計画が進んでいるということは、市場として有望なだけでなく、観光や治安など様々な背景に気付くことができる興味深いニュースと言えよう。

参考文献

Hanoi Times, “Hanoi to install more automatic vending machines in public areas”, 5 Jun 2019

日本自動販売機工業会「自販機普及台数 及び年間自販金額2016年版」(PDF注意)
https://www.jvma.or.jp/information/fukyu2016.pdf

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金融・マーケティング分野の機械学習システム開発や導入支援が専門。SlofiAでは主に海外情勢に関する記事、金融工学や機械学習に関する記事を担当。

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