仮想通貨から暗号資産へ:「暗号の春」の到来

要約

  • 一部の例外を除き、通貨としての役割より資産としての役割に注目されている
  • 規制強化によって大手金融機関も参入しやすくなり、VCによるブロックチェーン技術投資も活況
  • こうした状況は「暗号の春」(crypto spring)と呼ばれている

成熟市場は「暗号」のバラ色の過去から生まれてくるのか(VentureBeat)

  • 1年のうちに各国の規制が明確になってきたことで大手金融機関も合法的な「新たなデジタル資産」として扱い、積極的に参入するようになってきた
  • 新たな規制の枠組み・機関投資家の参入によって資本参入と流動性が高まり、潜在的な「クジラ」の問題が抑制され、市場が安定する
  • ブロックチェーン技術の新たな利用法にも注目が高まり、既にベンチャーキャピタリストの15%が暗号資産への投資に関与している

解説

仮想通貨のバブルが弾け、1年かけて大きく値下がりして価格が安定してきた今、投機対象としては終わりを迎えたが、各規制が敷かれたことで伝統的な金融機関や機関投資家も一つの「資産」としてみなす動き(或いは無視できない状態)が出てきた。

呼称もG20で暗号通貨*1(crypto currency)から暗号資産crypto asset)へと変えられ、元々の「中央集権的な通貨に代わる新しい通貨」という思想で作られた暗号通貨も、オンラインカジノでの普及といった例外を除けば、決済通貨としての道は諦め、マイクロペイメントとしての利用 など一つの資産・価値保有手段としての役割へと変わりつつある。

これまでは各暗号通貨の初期投資者による大量保有が結託し、将来の「大きな売り」になるという意味で「クジラ」として恐れられてきたが、適切な規制を敷き、大手の金融機関も参入することで流動性も高まり、そのリスクが軽減されるという意味でも市場の安定化が見込まれるという。

一方で、貨幣・資産としての要素を取り払い、純粋にブロックチェーン技術だけを見れば、そちらの可能性の方が大きいと言われる。その特性上、(51%アタックなど解決すべき問題はあるが)改竄が難しい形で履歴を保存できるので、その応用性は幅広い。

例えば、人工知能開発における学習履歴などをブロックチェーンに保持することで、学習過程を可視化し、外部からの改竄を防止して信頼性を担保したり、農作物の生産・流通過程を記録することでグローバルGAPに対応したり、規模の大小を問わず開発は積極的である。

こうした暗号資産としての定着・ブロックチェーン技術の応用の動きは、記事にある通りアラブの春ならぬ”crypto spring“(暗号の春)と呼ばれるようになってきており、長期的に投資は伸びていくと思われる。

参考文献

VentureBeat, “Can a mature market emerge from crypto’s colorful past?”

*1:仮想通貨(virtual currency)という名称は、本来はゲーム内通貨など法定通貨以外のものも広く含む言葉であり、日本で仮想通貨と呼ばれているものは暗号通貨(crypto currency)というのが国際的な用語である。

この記事の著者 HAL について

金融・マーケティング分野の機械学習システム開発や導入支援が専門。SlofiAでは主に海外情勢に関する記事、金融工学や機械学習に関する記事を担当。

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