投資詐欺に遭いやすいのは低学歴の女性高齢者「ではない」可能性

「女性」「高齢者」「低学歴」の人が投資詐欺に遭いやすいというイメージを持つ人が多いのではないかと思う(少なくとも報道は多い)が、それはステレオタイプで実際は真逆の人が投資詐欺に遭いやすいのではないかという事を示唆する報告が出された。

The American College of Financial Servicesのスティーブン・リー氏らによるVictim Characteristics of Investment Fraud (投資詐欺被害者の特徴)という論文で、2008年、2010年または2012年に詐欺被害について回答した米国人のデータ(N=35220)を元に、その属性をロジスティック回帰で有意性を調べたものである。

方法論が単純であることに留意する必要はあるが、その結果は以下の通りである。P-valueが太字になっているものが有意差があるものである。Estimateが正であれば相対的に詐欺被害に遭いやすく、負であると遭いにくい。性別は女性が基準、Education(教育)は高卒を基準、Age in ’08(2008年時点の年齢)は70~79歳が基準となっている。Martial Status(婚姻状況)は既婚が基準である。

詐欺被害についての回答のロジスティック回帰の結果
出典:Lee et al.(2019:23)

上の結果より詐欺被害に遭いやすいのは、

  • 男性(Male)
  • 大卒(Some College, College)
  • 大学院卒(Graduate Deg.)
  • 50-59歳
  • 60-69歳
  • 独身(Single)

であり、逆に詐欺被害に遭いにくいのは、中卒以下(< High School)である。

これはあくまでも米国人の話であるが、それでも通常のイメージとは真逆であり興味深い。

また、この論文では主成分分析によって「詐欺師が相手の警戒心を排除するための5つの特徴的な言葉」を抽出している。以下、その主成分と言葉の例を示しておこう。

  1. コントロールと確実性(例:必要に応じてお金を使えたら良いですよね?)
  2. 長期指向(例:一括してお金を払えば、生涯に渡って毎月の利益が500ドル減るのを回避できるとすれば、いくら払いますか?)
  3. 責任ある支出(例:将来の医療費や老人ホームの費用の為にお金を置いておきましょう。)
  4. 相続者のための貯蓄(例:遺産として残すお金を取っておきましょう。)
  5. 投資の自信(例:自分自身で10年間投資するなら、年平均で何%稼げると思いますか?)

参考文献

Lee, Steven and Cummings, Benjamin F. and Martin, Jason, Victim Characteristics of Investment Fraud (January 31, 2019). 2019 Academic Research Colloquium for Financial Planning and Related Disciplines. Available at SSRN: https://ssrn.com/abstract=3258084

この記事の著者 HAL について

金融・マーケティング分野の機械学習システム開発や導入支援が専門。SlofiAでは主に海外情勢に関する記事、金融工学や機械学習に関する記事を担当。

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