新型コロナウイルスに伴う緊急事態宣言の1ヶ月延長が「調整」されているとのことで、文言から言ってほぼ確定したと見て良い。(「調整」と出た時は大抵は決まった場合で、逆に「9月入学検討」など「検討」の時点では殆ど情報として意味が無い状態である。)
日本経済新聞「緊急事態宣言延長へ 政府調整、全国対象に1カ月程度」2020年4月29日
延長自体は驚きではなく、筆者も予想していた通りである。4月11日の時点では早々に解除して新規感染者数が大きくリバウンドするとみっともないという点から延長を予想し、4月16日には気温の観点から1ヶ月延長を予想した。
1ヶ月延長した上で全国一律で解除できるのか或いは感染者数が少ない地域から順次解除するのかは現時点では見えないが、少なくとも東京都に関しては「少なくとも1ヶ月の延長」と言えるだろう。
以下は東京都の新規感染者数の推移であり7日移動平均線を足してある。東京都で新規感染者数が大幅に増え始めたのは東京オリンピックの延期が決まった3月24日以降であり、緊急事態宣言の目安と言われた「1日の新規感染者数が100人」を初めて超えたのが4月4日、緊急事態宣言が発令されたのが4月7日である。
「東京オリンピックの延期が決定するまで検査数を抑えていた」という馬鹿げた陰謀論は一考の価値も無いが、緊急事態宣言が解除される為には、延期決定以前の水準(1日の新規感染者数が20人以下程度)にまで戻らなければならないのだろう。移動平均から見てピークアウトしたと言って良いが、その下降幅は上昇局面に際してなだらかである。今のトレンドからいけばその水準に達するのは5月15日以降であると言える。
問題はゴールデンウィークであり、例年に比べて旅客機の予約が9割近く減少しているなど人の移動はかなり少なくなると見られている。5月15日といえばゴールデンウィーク終了から10日程度経った頃であり、潜伏期間から考えてゴールデンウィークに感染拡大が無ければ東京オリンピック以前の水準になっている可能性が高い。それで1ヶ月延長が終わった段階で解除されるというのが1つ目のシナリオである。
しかし、それでも人の移動が無いわけではなく、帰省や旅行などで一定の人の移動が存在する。それによるリバウンドがあれば、延長から1ヶ月経つ6月6日は「かなり微妙な状況」となる。経済的な影響を考えれば緊急事態宣言自体は解除されても「引き続き自粛を要請する」といったなんとも言えない不安定な状況になる可能性も十分にある。ある意味では一番困るもので、これは2つ目のシナリオである。
3つ目はゴールデンウィークで人々がはっちゃけてしまって大きくリバウンドしてしまうケースである。そうすると梅雨・夏といった高温多湿による感染抑制を願うばかりになり、1ヶ月延長でも足りない可能性がある。現時点ではその可能性は低いと考えているが、シナリオとしては有り得る。