1月に当サイトでは「米国でリモートワーカーにとって最良・最悪の都市」という調査結果を紹介した。この調査自体は米国で新型コロナウイルスが流行する前のものであり、どちらかと言えばなぜテキサス州にスタートアップ企業が多く集まるのかを裏付けるものであった。
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さて、世界各国でロックダウンがされるようになり有無を言わさずリモートワークが推奨されるようになった今、立て続けに「リモートワークに最適な都市」という調査が2つ公開された。前述の調査と違い世界各都市が対象となっており、指数に利用する数値が今のロックダウンを反映するものとなっている。
一つはBroadbandDeals.co.ukが公開した世界50都市についての調査だ。これは(1)食品配達サービスの有無(ウーバーイーツ、デリバールー)、(2)リモートワーク労働率、(3)マックブックの価格、(4)インターネット速度、(5)生活費が算定根拠となっている。
1位がルーマニアのブカレストというのは意外な結果だが、データを見ればインターネット環境が良く、既にリモートワークが普及している実態などが見て取れる。それ以外の上位はやはり米国が多く名を連ねており、米国ではテキサス州ヒューストンが2位となっている。
東京は38位と下から数えた方が早い結果となっている。少なくとも新型コロナウイルス以前はあまりリモートワークが普及していなかった実態に加え、生活費の高さなどが影響しているだろう。
最下位3都市はイタリアのローマ・ミラノに加え、韓国ソウルが名を連ねている。インターネット速度の遅さなどが強く影響しているように見える。
もう一つの調査はCEOWORLD Magazineによるものだ。こちらは世界60都市を対象にした調査である。インターネット、1人当たりのコーヒーショップ、食品配達サービス、1人当たりのコワーキングスペース、リモートワークの普及率、ノートパソコンの価格、生活費が考慮されている。コーヒーショップとコワーキングスペースが追加されている点で上記調査とは異なる。
算定根拠がやや異なるだけあって上位陣の顔ぶれはやや異なる。1位はサンフランシスコとなっており、ドバイ、デリー首都圏が続く。それでも前調査で1位2位のブカレスト(5位)とヒューストン(7位)も上位に入っている。
東京が53位と低い順位であることも変わらない。こちらの調査では英国(UK)の都市が下位に多く入っているのが目立つ。両調査で調査対象都市が異なるが、傾向としては面白い。こちらもソウル(57位)やミラン(59位)と韓国・イタリアが下位に入る。
ウーバーイーツなど食品配達サービスが算定根拠に入っているのは今の社会事情を強く反映したものである事に留意しなければならないが、食品配達サービスの利用が当たり前の社会になる可能性がありコロナ以前と以後での変化などにも注目したい。