なぜ東京オリンピックの開催確率は半々なのか

IOCバッハ会長が東京オリンピックを必ず開催すると明言しており、日本政府も緊急事態宣言は東京オリンピック開催には無関係としている。一方で、世界全体を見れば新型コロナウイルスの感染は拡大傾向であり、予選が進んでいない競技も多い。タイムズ紙は1月には、非公式ながら日本政府が中止を決定したという証言を報道し、つい先日も二階俊博氏が五輪中止が選択肢に入るという発言が話題になった。

IOCと日本・東京の立場では、違約金などの問題があるので、自分から中止を進言したくないという都合がある。また、IOCにとっては放映権、日本側は観光への影響やスポンサー料など、どちらも主に金銭的な理由が大きい。

現実的に開催が難しい状況が揃っているとは言え、表面的には開催するという立場を崩していない関係者。しかし、実際に開催するかの最終決定は未だされていない状況である。一体どちらの可能性が高いのか。筆者は半々だと考えている。

予選の進行、選手・関係者の入国の問題など、開催において大きな障害が山積している他、コロナのおかげでみんな忘れているが、東京の暑さ問題、東京湾の汚染問題など何も解決していない問題もあり、本当に開催できるのかという状況が山ほどある。

一方で、欧米先進国を中心に2022年の北京オリンピックボイコットの動きがある。これはウイグル族への扱いを理由とした中国へのメッセージだけでなく、パンデミックを起こした諸悪の根源に対するメッセージもある。

それに加え、東京オリンピックの開会式の予定日2021年7月23日は、中国共産党結党100周年でもある。政治的には、2021年に東京オリンピックを意地でも開催し、2022年の北京オリンピックをボイコットするのが理想的なシナリオである。

政治的・経済的にはどうしても東京オリンピックを開催したいが、開催が難しい現実が山積している。この状況下で、「開催・中止のどちらの確率が高いか」などと言える方がおかしい。

だから、オリンピックの開催もしくは中止に賭けるのは止めた方が良いというのが筆者の正直な意見である。ここでの「賭ける」というのは、海外ブックメーカーでの本来の意味での賭けるだけでなく、開催もしくは中止を前提とした金融商品の取引、開催もしくは中止を前提としたビジネスへの投資などを行うことである。どちらに転んでも被害を最小限に抑える方法を考えるべきである。

About HAL

金融・マーケティング分野の機械学習システム開発や導入支援が専門。SlofiAでは主に海外情勢に関する記事、金融工学や機械学習に関する記事を担当。

View all posts by HAL →