緊急事態宣言は1ヶ月では解除されない

日本における「なんちゃって緊急事態宣言」は差し当たり5月6日までの1ヶ月程度で、それ以降については状況を見ながらということだが、筆者は今のところ、1ヶ月では解除されないと考えている。

1ヶ月という根拠については、新型コロナウイルスの潜伏期間の多くは12日以内ということで、人々との接触を極力回避すれば概ね2週間程度で新規感染者数がピークアウトし、更に2週間経てば新規感染者数が非常に少なくなるということである。

日本政府は7~8割の接触削減を目標としているが、これは欧米のような強力なロックダウンでなければ不可能な数値だ。なぜならいくら休日の外出を自粛したところで、人の移動の大部分を占める平日の通勤がそれほど減っていないので、最初から不可能な数字だからである。

ロックダウンを行っている欧米、特に深刻な状況であるイタリアやスペイン、アメリカですら2週間でピークアウトしたとは言い難い状況である。スペインは一度ピークアウトしたかに見えたが、再び感染者数が増加した。アメリカも当初の予想よりはピークアウトが遅く、トランプ大統領の希望通りに4月末までにロックダウンを解除できるかは不明だ。

日本の場合、ロックダウンをするわけではない。政府が言うように「基本的に今までと変わらない」のである。東京の再生産数はイタリアなどほどは高くないと見られており、これが維持されたとすると、より緩やかにピークを迎えることになる。

ピーク時の新規感染者数が少ないことは医療崩壊のリスクが小さいので望ましい。しかし、ピークアウトが遅いということなので、その時期が2週間より後である可能性は高いのではないか。

また、順調に2週間でピークアウトを迎えたとしても、その2週間後に緊急事態宣言を解除できるとは限らないし、その判断は難しいだろう。なぜなら、多くの予測モデルでロックダウンを解除した後に再度感染者数が大幅に増加する可能性が指摘されており、爆発的に感染者数が増えずとも、何度も感染者数が増えては減り、を繰り返す可能性が高い。

そうすると、その度に緊急事態宣言を発令したり解除したり、というのは政治的には如何にもみっともなく見える。そうすると、解除の判断はかなり慎重になるだろう。

もっとも、この筆者の予想は現時点でのものである。状況に応じて刻々と変わるだろうし、冷静に判断するには掌返しを恐れずに状況判断していかねばならない。見方が変わった場合はどんどんこの意見を否定していこうと考えている。

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