要約
- 音声アシスタントの米国ユーザーについての3つの調査を紹介
- マーケターにとっての双方向音声マーケティングの価値についての調査を紹介
- どちらから見ても音声アシスタントが普及率の割に技術が追いついていないことが示唆
50%以上の人が「面白い質問をする」ために音声アシスタントを利用(CNBC)
- Adobeが1月に4日間にわたり米国の1000人の音声アシスタントの用途について調査
- 最も用途として多いのが(1)音楽の再生(74%)、(2)天気予報の確認(66%)、(3)面白い質問をする(58%)。検索利用は32%
- 商品の購入は30%と昨年8月の調査時40%より減少
- 毎日利用する人は75%、利用頻度が増えている人は77%
- スマートスピーカーの所有率は36%と前回調査時32%より増加
- 音声アシスタントを搭載させたいものとして多いのが(1)テレビ(42%)、(2)車(29%)、(3)サーモスタット(29%)。電化製品の回答は少ない
The smart audio Report(npr & edison research)
- 2018年12月の調査で、米国の18歳以上の21%(約5,300万人)がスマートスピーカーを保有
- イノベーター理論の5分類ではアーリーマジョリティーの段階に(2017年1月のアーリーアダプター、2017年12月のアーリーアダプターとアーリーマジョリティーの間)
- 所有者の48%は1つ保有、22%が2つ保有、30%が3つ以上保有
- 家計での保有数が1億1,850万台(1年前の6,670万台から78%増)
- 69%の人は「今後6ヶ月以内に買うつもりは全く無い」
- 23%の人は「買う可能性がいくらかある」、7%の人は「買う可能性が高い」
- 1日に1回以上使う人は53%
アメリカでスマートスピーカーは2018年に臨界質量に達した(TechCrunch)
- RBC Capital Marketsのレポートによると、米国でのスマートスピーカーの世帯普及率は41%と2017年の21.5%から倍増
- 普及しているスマートスピーカーのうち3/4はAlexa
- 家庭で使われているAlexaデバイスは1億台を突破し、レポートでは「臨界質量に達した」と表現
- Alexaのサードパーティアプリの「スキル」も6万以上と前年比150%の成長
- Google Homeの保有率は8%から23%に増えているが、今後数年の売上高はAmazon Alexaに後塵を拝する見込み
解説
いずれの調査も数値差がまちまちであるが、米国ではかなりの台数のスマートスピーカーが普及している事は確かである。
そして、保有している家庭においては複数保有も多く、1家に1台どころか1人に1台の時代も到来しようとしている気配すらある。
一方で、現状の用途が非常に限られているという点で、普及率の割にはまだまだ技術的に途上にあるという感が否めない。これは、
- AmazonのAlexaのシェアが非常に高いが、買い物での利用率は寧ろ下がっている
- 面白い質問をするという回答が多い(音声アシスタントからの変な返答も多いことが示唆)
という点からも推察される。(後者は単純に会話を楽しむ人もいるだろうとは思うが。)
また、Uberallによる「スモールビジネスのマーケターが音声アシスタントについてどう考えているか」についての調査では、シェアの高さからAlexaのポテンシャルが最も高いと回答した人が48%と一番多く、ついでGoogle Assistantが29%、AppleのSiriが17%という結果だった。(Small Business TRENDS)
同調査では他に、「組織において双方向音声マーケティングの価値」についての質問は、「とても価値がある」「いくらか価値がある」の回答が合わせて49%と約半数を占めるが、「あまり価値は無い」「全く価値は無い」の回答が合わせて39%とネガティブな意見も多いのも興味深い。
これはマーケターの目線でも音声アシスタントの技術が発展途上であり、マーケティングへの用途が現状では限定的であるという事が背景にあるのではないかと筆者は思う。
参考文献
npr, “The Smart Audio Report, Winter 2018”
TechCrunch「アメリカでスマートスピーカーは2018年に臨界質量に達した(世帯普及率41%)」