ベトナムのセクター別マネーロンダリングリスク

先月4月30日、Vuong Dinh Hue 副首相は、首相の代理として、「2019-2020年度におけるマネーロンダリング及びテロ資金供与のリスクに対処するためのアクションプラン」を公布するための決定No. 474/QD-TTgに署名した。

これに伴い、2012-2017年のマネーロンダリングとテロ資金供与についての国家リスク評価についての報告書が承認された。これはベトナム国立銀行(SBV : The State Bank of Vietnam)が2012-2017年の疑わしい取引などの結果を元に、セクター別にリスク評価をしたものである。

参考:The State Bank of Vietnam, “Annoucement of Vietnam’s National Risk Assessment of Money Laundering and Terrorist Financing”, 16 May 2019

主にセクター別に「脅威(Threats)」と「脆弱性(Vulnerability)」を評価し、その総合評価として「リスク(Risk)」を示している。脅威は、現実としてマネーロンダリングやテロ資金供与の場として悪用されうる可能性の高さを示している。脆弱性は、その脅威に対し、必要な国家的な防衛や反応機構とのギャップを指す。

以下は、このうち「脅威」について示している。

セクター脅威
銀行HIGH
不動産HIGH
証券MEDIUM
カジノ・ギャンブルMEDIUM
保険MEDIUM LOW
海外送金と外貨両替(正規ルート)MEDIUM HIGH
海外送金と外貨両替(地下ルート)HIGH
会計・監査LOW
弁護士・公証人LOW
他の金融機関LOW

地下ルートの海外送金・外貨両替の脅威が高いのは当然として、銀行と不動産がHIGHになっているのが特徴である。

銀行部門は、「疑わしい取引」とされたもののうち90%近くを占めており、マネーロンダリング等のリスクは脅威として圧倒的に高い。

無論、疑わしい取引の全てが実際にマネーロンダリングされているわけではないが、間違いなく割合として多いのは確かである。

レポートによると、ギャンブルや脱税での利用が多く、他人名義の銀行口座を使用するケースが多い。

先日一斉摘発された違法ギャンブルサイトのマネーロンダリングの手口も、小口の銀行口座を大量に用意する手口が使われていた。

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不動産部門も銀行同様にHIGHとなっており、こちらは窃盗財産や高額なギャンブル資金の洗浄に使われている傾向が強い。

典型的な手口は、家族の名義で不動産を購入し、その不動産を贈与するという形を取る。

一方で保険などは比較的に利用される度合いが低く、監査・弁護士などを通したマネーロンダリングも比較的少ない。

       

この記事の著者 HAL について

金融・マーケティング分野の機械学習システム開発や導入支援が専門。SlofiAでは主に海外情勢に関する記事、金融工学や機械学習に関する記事を担当。

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