そろそろプラチナとパラジウムの価格比に注目(2019年4月3日追記)

プラチナ(白金)がゴールド(金)より安くなって久しいが、その理由は自動車の浄化触媒としてプラチナではなくパラジウムを利用することが増えたからである。プラチナは主にディーゼルエンジンの触媒として使われているが、イメージ悪化によって需要が減少傾向にあるのが背景である。

下図は1990年以降のプラチナとパラジウムのスポット価格を示している。プラチナのスポット価格(XPT/USD:青線)は元々はパラジウムよりも高かったが、近年は下落傾向にあり、パラジウムのスポット価格(XPD/USD:赤線)は上昇傾向にあり、2017年にプラチナ価格を上回るに至っている。

パラジウムとプラチナの1オンス当たりのスポット価格(USD)
出典:Stooq

また、両方ともバブル期に大きく値上がりしており、過去にもITバブル期にはパラジウムがプラチナ価格を上回っていたことも興味深い。

プラチナの生産量は安定しているので、需要減少の影響をまともに受けている一方で、パラジウムに関しては需要の増加によって供給不足が続いて値上がりし続けているというのが実態である。

しかし、代替品の価格が上回り続けているのは明らかに不自然な状態である。勿論、パラジウムが高くなりすぎたからと言って製造設備の問題から急にプラチナの利用に戻せるわけではない。それでも両者の価格比は重要であると考えられる。

実際、過去30年に渡ってプラチナとパラジウムの価格比を見ると、興味深いことが分かる。下図は、パラジウムに対するプラチナの価格比Platinum-Palladium Ratio)を示している。過去30年に渡り、価格比は概ね0.5強~5強の間で推移していることが分かる。

プラチナとパラジウムの価格比
出典:Stooqより筆者作成

パラジウムがプラチナ価格を上回っていたITバブル期においては価格比は0.56という低さを記録しているが、現在の水準は0.54とそれを更に下回る水準である。

ある一定の範囲で価格が変動するというのは、性質がよく似た金属を代替品として利用するという傾向が価格にも現れているということである。勿論、前述の通りすぐに一方にシフトするわけではないが、中長期的にはシフトが発生している可能性がある。

この価格比の是正が「プラチナ価格の上昇」によって起きるのか「パラジウム価格の下落」によって起きるのかは現時点ではなんとも言えないが、パラジウムに対してプラチナが過去最低水準に安くなっている以上、この比に注意する必要があるだろう。

追記(2019年4月3日)

プラチナ鉱山大手の英アングロ・アメリカンのマーク・キューティファニCEOは、スイスでのFTコモディティ・グローバル・サミットでパラジウム相場を「バブル」と表現し、大幅値下がりした。

参考:日本経済新聞「パラジウムが急反落 鉱山トップが「バブル」発言」

この結果を受けて、Platinum-Palladium Ratioも2019年4月3日時点で0.59~0.62で推移している。なお、現在の価格比は以下などでお手軽に参照できる。

参考:Denver Gold Group, PLATINUM TO PALLADIUM RATIO

この記事の著者 HAL について

金融・マーケティング分野の機械学習システム開発や導入支援が専門。SlofiAでは主に海外情勢に関する記事、金融工学や機械学習に関する記事を担当。

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